ぶらり紀行

JTフォーラム(阿刀田高さん・みうらじゅんさん)を聴講。

笑いあふれる 素敵な講演でした。
先日、JT(日本たばこ産業株式会社)が主催する講演会『JTフォーラム』を聴講してきました。登壇されたのは阿刀田高さんとみうらじゅんさん。どちらのお話もとても面白く、あっという間に時間が過ぎました。

全国各地で著名人を招く講演会『JTフォーラム』

「人のときを、想う」のキャッチフレーズが有名なJT(日本たばこ産業株式会社)が主催している『JTフォーラム』。全国各地で開催され、それぞれの地域で各界の著名人が招いた講演会が行われています。

そのフォーラムが地元で開催されるにあたって参加希望者が抽選で募集されており、今回僕も当選して参加することが出来ました。

第一部・阿刀田高さん講演『マイナスのとき』

まず第一部として作家・阿刀田高さんが『マイナスのとき』という題で登壇されました。

阿刀田さんは作家として日本推理作家協力賞や直木賞、吉川英治文学賞といった賞を受賞されており、そのほか国語政策への貢献に対しても数々の賞を受賞されています。また、現在は山梨県立図書館の館長もされており、県民にとっては馴染みの深い御方です。

マイナスのとき』と題した講演では、大学生の頃に結核を患い1年半に渡る入院生活の中で思い至った「かけがえのない自分」について、また、その入院生活中の読書が作家として仕事に大きく関わってきたということが語られました。

入院中、お見舞に来てくれる仲間たちが楽しそうに語ってくれる話はどれもプラスな方向へ向かうポジティブなものばかりで、それに対して「入院している自分はマイナスだ。マイナスからゼロに向かっているのだ」と少しガッカリされたそうです。しかし、「他人になることはできない。これが”かけがえのない自分”なんだ」とも思ったのだそうです。(ご本人いわく「悟った」とのこと)

”かけがえのない自分”を知ったことをきっかけに「7割の満足でいい、自分にできることだけをやる」と無欲に生きてきたことで、作家として数々の賞を受賞することができたのではないかと振り返っていました。また、入院中に手持ち無沙汰を紛らすため海外作家の短編集を貪るようにひたすら読んだ経験が自分の作家業の源になっているとも話され、会場の聴講者にも読書をすすめていました。

朗らかな語り口で時おり挟まれるユーモアに会場からは笑いが起こり、終始和やかな空気の中で講演が進んでいました。最後に話されていた「マイナスの時をどう利用するかがチャンス」という言葉はこれから意識していきたいです。

また、僕は今ちょうど阿刀田さんの著書『旧約聖書を知っていますか』を読み進めているところだったので、著者に興味を持ったタイミングで直接お話を聞けたのはとても嬉しかったです。

新たに記事を書きたいと考えていますが、この『〜を知っていますか』シリーズは「旧約聖書」「新約聖書」「コーラン」「ギリシア神話」などついて、時おりユーモアを交えながらも非常にわかりやすくまとめられていてオススメです。

第二部・みうらじゅんさん講演『「ない仕事」の作り方』

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休憩を挟んだ後、第二部『「ない仕事」の作り方』と題してみうらじゅんさんが登壇されました。

みうらじゅんさんは大学在学中に漫画家としてデビューされて以来、イラストレーターや作家、ミュージシャンなど幅広い分野でご活躍されています。過去、流行語大賞(「マイブーム」)や日本映画批評家大賞功労賞を受賞されたそうです。

講演はまずはじめにご自身がオジー・オズボーンやジョンレノン、ゴーストライター問題で話題になった作曲家といった別人に間違われたというお話で会場を沸かせ、この講演の控室で籐椅子を見つけて思わず座って写真を撮ってしまったお話(スライド写真付き)から映画『エマニエル夫人』の話へ寄り道されたりと、第一部とはガラリと変わった雰囲気の講演でいきなり心を掴まれてしまいました。

そして、「自分は小学生の頃からずっと同じことをやりつづけている」ということでみうらさんの学生時代のことが赤裸々に語られていきます。学生の頃にはひたすら大好きな仏像の写真をスクラップしたり、新聞部でもないのに学級新聞を作ったり、仏像写真集の誤植を探して出版社に指摘したり、ひたすら自作曲を自宅でレコーディングしてみたり(450曲超え)……といった数々のユニークなエピソードが語られ、その度に会場は大きな笑いに包まれていました。

その後、「ゆるキャラ」イベントや「フィギュ和」「らくがお帳」「いやげ物」といった独特の視点から物事を捉えたご本人のお仕事が紹介され、「誰からも頼まれていないけれど好きでやってきたことが、後々の仕事に繋がっている」と振り返っていました。

時おりご本人も「何の話をしてましたっけ?」と迷ってしまうような別の話題へ寄り道をされて、その話に声を上げて笑う人もいたりと随分とにぎやかな雰囲気の講演でした。最後には「誰も注目していないようなことをする。飽きても飽きていないフリをして続けることが「ない仕事」を作るコツ」という言葉で締めくくられました。僕もずいぶんと笑わせてもらいましたが、お話の内容はとても興味深く、物事に対する全く違った視点があるということを知ることが出来た気がします。

毛色の大きく異なるお二人の講演でしたが、どちらもとても得るものの多い有意義な時間を過ごすことが出来ました。

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六味

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アニメゲームが大好き。最近は美術館へ足を運ぶことにもハマっています。このブログでは触れた作品や訪れた場所についての感想などを書いています。