* このページではアフィリエイト広告を利用しています

ぶらり紀行

山梨県立美術館・特別展『ヴラマンク展』へ行ってきました。

ヴラマンク展
先日、県立美術館で開催されている特別展『ヴラマンク展〜絵画と言葉で紡ぐ人生〜』を観てきました。展覧会のタイトルにもあるように、画業だけでなく文筆業や自転車競技など幅広い活動を行ってきたヴラマンクの人生を絵画作品から紐解いていくような構成になっていました。

野獣派(フォービスム)の画家ヴラマンク

ヴラマンクは20世紀のフランスで活躍し、鮮やかな色彩で厚塗りな表現を特徴とする「野獣派(フォービスム)」の画家として有名だそうです。恥ずかしながら美術史には疎く、今回の展覧会で初めてヴラマンクという画家を知りました。こうやって”未知”に触れられる機会がたくさんあるので美術館や博物館に通うのは楽しいです。

ヴラマンクは作家として本を執筆したり自転車競技の選手として賞金を稼いだりと、画業以外にも幅広く活動を行っていたということを知り、絵画作品だけでなくヴラマンク自身に対しても強く興味を惹かれました。

画家の歩みに合わせて変化していく画風

展覧会ではヴラマンクの人生の歩みに合わせた絵画作品の展示がされていましたが、それによって刻々と変化していくヴラマンクの画風がとても印象に強く残りました。

はじめの方で飾られている作品たちは対象が太い線で形どられ、原色の絵の具を塗りたくったような明るいものが多いのですが、先に進み時代を経るごとに色調は少しずつ鮮やかなものから暗く重々しいものへ、対象はより写実的に捉えられた画風へと変化していきます。

そういった画風の変化、そのきっかけとなる画家自身の心境の変化のうらには戦争(第一次世界大戦)という歴史上の大きな出来事が関係していたとのことです。

印象に残る「冬」をモチーフにした作品たち

鮮やかな色調から暗く重々しい色調へと画風が変わった後のヴラマンクの作品には「冬」や「雪」をモチーフにした作品が非常に多かったというのが印象に残っています。

雪に覆われた村や教会、そこで暮らす人々の姿が描かれた数々の作品からは冬の空気や静けさまでもが伝わってくるようで、キャンバスに塗られたただの白い絵の具であるにもかかわらず、そこから冷たい雪が感じられるというのは絵画の不思議な魅力だなと思いました。

展覧会の最後を飾るヴラマンクの「遺言」

展覧会の後半では文筆家としてのヴラマンクの仕事にも少し触れられていました。ヴラマンクが発表した著作が見開きで展示されていて数ページだけ読むことができたのですが、続きがとても気になってしまいました。とても古い本のようなので今でも手に入れられるかどうかはちょっとわかりませんが……。

出口付近では「私の遺言」と題してヴラマンクが亡くなる2年ほど前に本人が書き残した文章も紹介されていました。ヴラマンクの芸術・描くことに対する思いについてがユーモアを交えながら語られていて、文筆家としてのヴラマンクの一面が垣間見える非常に興味深い文章でした。モノ作りに携わる人にはとても響く内容なのではないかと思います。

ヴラマンクという画家には今回の展覧会で初めて触れましたが、画業だけでなく興味関心のある物事に対して貪欲に情熱を傾ける姿には強い憧れを感じてしまいました。

開催情報

山梨県立美術館 特別展
「ヴラマンク展〜絵画と言葉で紡ぐ人生〜」

会期:2017年9月2日(土)~10月22日(日)

その他、休館日や料金等の詳細は公式サイトにてご確認ください。
山梨県立美術館 特別展「ヴラマンク展」公式サイト

こちらもチェック

県立美術館で『「私の1枚」 日本の写真史を飾った101人』を鑑賞
『バロックの巨匠たち〜ルーベンス、レンブラント、ベラスケスと栄光の時代〜』
ぽっつり、ぶらり、東京。(2) 『ミュシャ展(スラヴ叙事詩)』編
県立文学館で『作家のデビュー展(+「文豪ストレイドッグス」コラボ企画)』を鑑賞
県立文学館で作家・辻村深月先生の講演を聴講

ぶらり紀行

この記事をシェアする

六味

アニメゲームが大好き。最近は美術館へ足を運ぶことにもハマっています。このブログでは触れた作品や訪れた場所についての感想などを書いています。