先日発売のゲーム会社・ヴァニラウェアの画集『ヴァニラウェア オフィシャル アートブック Vanilla Mania!』を読みました。
ヴァニラウェアの20余年の歩みが詰まった画集
『ヴァニラウェア オフィシャル アートブック Vanilla Mania!』は、美麗なアートワークで多くの心を魅了するゲーム会社・ヴァニラウェアの設立から現在に至るまでの歩みが一冊にまとめられた画集です。
ヴァニラウェアがこれまでに手掛けたゲーム作品に関するアートワークがたっぷり掲載されていて読み応えバツグン。 パッケージイラストや店舗特典グッズ用のイラスト、ゲーム内の一枚絵やキャラクターの立ち絵に至るまでページいっぱいに絵が並んでいます。
中でも『くまたんち』はイラストだけでなくドット絵も載っているのがステキです。 さすがにアニメパターンまではありませんが、各キャラのポーズは豊富に載っていました。
また、ヴァニラウェア設立以前に神谷盛治さんが手がけられた作品(『プリンセスクラウン』・『ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン』)のアートワークもページ数の割合は小さいながらも含まれています。 なんとも豪華!
全掲載作品は下記の通りです。(出版社の公式サイトより)
- グリムグリモア OnceMore
- 十三機兵防衛圏
- ドラゴンズクラウン・プロ
- オーディンスフィア レイヴスラシル
- ドラゴンズクラウン
- グランナイツヒストリー
- 朧村正
- くまたんち
- オーディンスフィア
- グリムグリモア
- ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン
- プリンセスクラウン
一部のイラストには担当スタッフさんによるコメントも
一部のイラスト(といってもかなりの割合ですが)には担当されたスタッフさんによる一言コメントも添えられています。 こういうの、大好きっす。
イラストの解説や描いた当時の思い出のほかオマージュ元(古典絵画など)についても触れられていたりして、馴染み深いイラストでも新たな発見がありました。
普段の業務に加えてのコメント作業は大変だったろうなぁと想像しますが、こちらにとってはものすごくありがたく嬉しい内容なので本当に感謝です……!
“ヴァニラ飯”の特集ページもあるぞ!
ヴァニラウェアといえば「食べ物」! というくらい、とても美味しそうな見た目の食べ物イラストがゲームに登場することで有名ですが、そんな“ヴァニラ飯”だけをまとめた特集ページが組まれていました。
こちらの需要がカンペキに理解されているッ……!
これまでの作品に登場した食べ物のイラストばかりがズラリと並んでいて、そこだけまるでファミレスのメニュー表みたいになっていたのがちょっと面白かったです。 眺めているだけでお腹が空いちゃいました。
それにしても絵で美味しさを表現するのって相当な技術が必要ですよね。 ホントすごいっす……。
ラフ画や年賀絵まで載っている
ゲームのアートワークだけで終わらず各作品のラフ画・設定資料・発売カウントダウン絵やヴァニラウェアの公式Webサイト上に毎年掲載された神谷盛治さんによる年賀絵、会社のマスコットキャラクター・ヴァニラ坊やに関するイラストまで網羅されています。
かゆいところに手が届きまくりの内容!(歓喜)
巻末にはインタビューも収録
巻末にはヴァニラウェアの代表・神谷盛治さんへの一問一答やプログラマーの大西憲太郎さん・野間崇史さんを交えた鼎談、ヴァニラウェア作品の楽曲を担当しているベイシスケイプのスタッフさんへのインタビューも載っていました。
※ 神谷さん・大西さん・野間さんの鼎談については「週刊ファミ通(2019年12月12日号)」に掲載された内容を一部編集したものとのことです。
神谷さんへの一問一答ではバラエティ豊かな質問の中に「アイデアはいつ浮かぶのか」・「ゲーム制作、イラスト制作で意識していること」・「ヴァニラウェアで求めている人物像」など制作にまつわる内容もあって興味深かったです。
ベイシスケイプのインタビューは“音楽面から見るヴァニラウェア作品について”が感じられる内容でこちらも面白く読ませてもらいました。 各作品のサウンドデザインに関するお話など、音楽のお仕事の一端が垣間見えたようでした。
鼎談は神谷さんがヴァニラウェアに至るまでの足跡が詳しく語られています。 元記事の載っているファミ通の表紙を確認して元記事を読んだ記憶が一気に蘇りました。 中でも「命を懸ける」に関するお話が印象的です。
見たかったものが詰まった宝箱のような一冊
もうとにかく豪華な収録内容でページをめくる度に「おいおい最高かよ……」とため息がでちゃいました。
こちらが見たいと思っていたものが過不足なく、いやさ、それ以上にたっぷり詰め込まれた宝箱のような一冊ですね。
読み終えた時の満腹感がハンパなかったです。 ごちそうさまでした。
《余談その1》Webサイトを巡回していた記憶が蘇った
画集を読んでいろいろな懐かしさが蘇ってきました。
僕はWii用ソフト『朧村正』(2009年発売)をきっかけにヴァニラウェアを知って今に至ります。 『朧村正』発表当時、他とは一線を画す美麗な画面にそれは衝撃を受けたものでした。
そこからヴァニラウェアに関する情報を追いかけて会社の公式サイトやスタッフさんの個人サイトを巡回する日々が始まったのです。 「今日は更新されているかな」とワクワクしながらアクセスするのが日課でした。
ということは当時はまだSNSは隆盛ではなかったんですね。 10年あれば世の中は変わってしまうもので……。
思い返せば、お気に入りのWebサイトを自らの手で巡っていく時代もけっこう好きでしたよ。
《余談その2》こちら側からできることについて考える
各タイトルについて神谷さんが寄せていたコメントの中で挙がっていたゲーム発売に至るまでの過酷な状況(会社存続の危機など)に関するお話を読んで「ゲームを一本完成させて発売に至るというのは本当に大変なんだな」と感じさせられました。
ちゃんと発売して僕たちの手元に届いて遊べる、というのは決して当たり前のことじゃないのかもなんて思います。
多くの人が一丸となって文字通り命を懸けて作り上げてくれたゲームに対して自分には何ができるだろうと、画集を読み終えてから考えてしまいました。
まず、なにはともあれ「買って遊ぶ」ことですよね。 僕たちができる最も現実的な応援の方法。 特に現代では「見て済ませる」ことも可能になってしまっているからこそ大切なことだと思います。
そして「声を挙げる」ことをなるべく行った方がいいのかなぁ、とも。 SNSなどの発達で個人の声が周りへ伝わりやすくなっている世の中なので、面白いと感じたものについて発信することでどこかの誰かが興味をもつきっかけになるかもしれません。
つい最近、口コミ効果でジワジワと人気が高まっていった作品を目にした機会もあったので、たとえ小さな声であったとしても意味はあるものと信じたいです。
(とは言いつつ2023年7月現在、SNS界はトンデモないことになっているわけですけれども……)
今後もよく遊び、脳みそに汗かきながら自分の中の「面白かった」を文章に変換していく決意を新たにしました。
外部リンク
◆ ヴァニラウェア有限会社 – 公式サイト
◆ ヴァニラウェア オフィシャル アートブック Vanilla Mania! – KADOKAWA(出版社) 公式サイト