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4コマの余白に思い馳せるマンガ『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』

漫画家・いしいひさいちさんが自費出版で販売されているマンガ『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』を読みました。 評判に違わぬ面白さでございました。

歌姫を目指す女の子のサクセスストーリー

いしいひさいちさんはこれまでに数多くの作品を世に送り出してきた漫画家で、中でも朝日新聞・朝刊の4コママンガ『ののちゃん』は誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

今回読んだ『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』は、ポルトガルの民謡「ファド」の歌手を目指す女子高生・吉川ロカが歌唱の才能を周囲に認められ一歩ずつ大きな舞台へと躍進していく姿を描いた4コママンガです。

もともとは『ののちゃん』の枠に「吉川ロカ」シリーズとして時おり掲載されたり、後に自費出版された「ドーナツボックス」に掲載されていた作品で、それに描き下ろしを加えて『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』としてまとめられ2022年に自費出版されました。

たった4つのコマが持つ奥の深さ

この作品はギャグをベースに主人公・ロカとそれを取り巻く人々との面白おかしくもあたたかな交流が描かれます。

歌唱のレッスンをつけてくれる学校の先生、町中で偶然出会ったストリートミュージシャン、ライブ場所を提供してくれる食堂のおばちゃん……など、ロカの歌声を通じて多くの人が彼女を後押ししていきます。

その中でロカの最も近くにいるのが親友の柴島美乃です。 表向きはぶっきらぼうながら、どこまでも献身的にロカを支える彼女たちの関係性も作品の大きな魅力でしょう。

活動を続けて世間からの人気も徐々に高まるロカに対して美乃が下す“ある決断”と、そこから描かれる物語の結末には何とも言えない読後感がありました。

この作品に強く惹かれるワケは、ただ右肩上がりに成功の道を駆け上がるだけの物語ではなく、ロカや美乃の境遇など要所要所にビターな現実味を感じさせる描写がさりげなく盛り込まれているところにあると思います。

4コマの外側にある物語の余白までも楽しい

何を描き何を省略するのか、4コマに収められた情報量の無駄のなさに感嘆したり、語られていない物語の余白部分に思いを馳せたり、表紙から裏表紙に至るまで全てのページが魅力的な作品でした。

4コママンガという形式上、4つのコマでひとつのエピソードにオチを付けつつメインとなるロカの物語も進めていくことになるわけで、その妙を堪能させてもらいました。

そして、当然ではあるのですがやっぱり絵が素晴らしい。 この本を即買いしたのは調べた時に目にした表紙絵があまりにも良くて一目惚れしたからというのもあります。 線一本が担う表現力の重要性を改めて思い知りました。

僕と同じように表紙絵を見てビビッときた人は読んで損はないと思いますので、ぜひ。

ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』は、いしいひさいちさんが自費出版して販売している本のため一般書店や大手通販サイトでの取り扱いはありません。 ※ 電子書籍(Kindle)版も販売開始されました

紙版はいしいひさいちさんの公式サイトなどから購入申し込みができますので、詳細はそちらをご確認くださいませ。

(笑)いしい商店土間 – 公式サイト

《後日追記》電子書籍(kindle)版もついに登場

2023年7月末にAmazonの電子書籍「Kindle」でも取り扱いが開始されました。

9月には『吉川ロカエピソード集 花の雨が降る』も発売予定とのことで今から楽しみ……! 紙版・Kindle版どちらも発売されるそうです。

《余談》伊集院光さんの深夜ラジオをきっかけに知った

僕がこの作品を知るきっかけとなったのがタレント・伊集院光さんの深夜ラジオ『伊集院光 深夜の馬鹿力(TBSラジオ)』です。

2022年末に放送された「伊集院さんが選ぶ今年のベストバイ(買って良かったもの)」の回で『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』を紹介されていて興味を持ちました。

Twitterなどを中心に口コミで話題になっていたそうですが今回は完全にアンテナの外側だったので、ステキな作品に引き合わせてもらえてありがたかったです。

TBSラジオ「JUNK」 – 公式サイト

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六味

アニメゲームが大好き。最近は美術館へ足を運ぶことにもハマっています。このブログでは触れた作品や訪れた場所についての感想などを書いています。