フロムソフトウェアのPS4用ソフト『Bloodborne(ブラッドボーン)』という2015年発売のゲームに今さらながらドハマりしてしまい、一ヶ月ほどヤーナムの地で血に酔っておりました……。
いわゆる「死にゲー」なアクションRPG
『Bloodborne(ブラッドボーン)』は、フロムソフトウェアが生み出した『デモンズソウル』・『ダークソウル』といった「ソウル」シリーズの系譜を辿りつつも、独自のシステムや世界観などにより新たな路線を打ち出したアクションRPGです。
小さなミスひとつが命取りとなる一触即発な難易度により、何度もゲームオーバーを繰り返しながら一歩ずつクリアの糸口を見出していくこれらのゲーム作品は、いわゆる「死にゲー」と呼ばれ親しまれてきました。
こういったゲームは「難しさ」に魅力を感じる人たちがハマるジャンルだと思っていたので、下手っぴゲーマーな僕が選ぶラインナップには入ることなく日々を過ごしてきたのですが……。 それがちょっとした出会いがきっかけでドハマりするに至ったワケです。
「PlayStation Plus」のフリープレイにて出会う
そのきっかけというのが「PlayStation Plus」の「フリープレイ」でした。
PS4でオンラインプレイをする時には「PlayStation Plus」という会員サービスへの加入が必要となります。 その加入特典として月ごとに違ったゲームが無料で配布される「フリープレイ」というサービスも提供されていまして。
そんな「フリープレイ」の対象タイトルとして『ブラッドボーン』が登場した月があり、それが僕の出会いとなったのでした。
ちなみに、「フリープレイ」でもらったゲームを起動できるのは会員になっている期間中のみです。 対象タイトルの配布はその月限定なので逃さないようにご注意を。 一度もらってしまえば、加入中であるかぎり過去にもらった全てのゲームで遊ぶことができます。
やっぱり自分には難しかった……でも
そんなこんなで「無料なら……」とお試し気分で遊んだ『ブラッドボーン』ですが、ウワサに違わぬ高い難易度で僕を歓迎してくれました。
もともとアクションゲームが得意ではないこともあって、少し進んでは敵キャラクターにボコボコにされてスタート地点に戻るという無限ループにハマりこむ始末。
こんなにたくさんのゲームオーバーを経験したことがなかったので本当に心が折れてしまい、「PSプラスの期間も月末で終わるし、ブラボはここまでいいかな……」とコントローラーを置く決心をしてしまいます。
ところが、なんとも不思議なことに次の日には「もう一度挑戦したら、あるいは……」と再びプレイしてしまう自分がいました。
まさしく「ムカッとくるけど、やめられない!」状態。
「楽しくない……けれど、メチャ面白い!」という初めての感覚
僕が『ブラッドボーン』で遊んだ時の感情は、正直言うと「楽しくはない」というのがほとんどでした。
ゲーム下手なこともあって敵キャラは手強いし、地形は入り組んでいて迷子になるし……。 世界観は血ミドロで怖くって胃が痛くなるし……。 とても楽しめるような余裕などあるはずもなく。
しかしながら、プレイの上達を実感できる喜び、何度もやり直したボスキャラを倒せた感動、シビれるほどにカッコいいデザイン……といった数々の大きな魅力が「楽しくはない」はずの僕にコントローラーを握らせ、気がつけば「メチャ面白い!」とドハマりさせてくれたのです。
今にして思えば、この「楽しくはない」感情というのも、例えるならオバケ屋敷をイヤイヤ言いながらもビックリさせられることを期待して進んでいるようなもので、客観的に見ればこれ以上ないくらい楽しんじゃってますよね。
エンディングをこんなにも嬉しく感じたのは久しぶり
一ヶ月近くも血に酔い、死闘を繰り広げて何とかエンディングにたどり着いた時に感じた喜びの大きさは、ここ久しく体感していないものでした。
何度となく敵キャラに打ちのめされながらも、「こうやったらどうか、それがダメならこうやって……」と試行錯誤しながらジリジリとクリアに近づいていくゲーム体験は、僕にとって今まで食わず嫌いで避けてきたこともあってとても新鮮です。
情報を調べてみたところ、取り逃がしたイベントや出会っていないボスキャラもいるようなので、しばらく間をおいてほとぼりが冷めた頃にまた狩人として彼の地に舞い戻ろうと思っています。
「追加コンテンツも遊べ」に従ってよかった
上で「フリープレイの期間終了が近づいてコントローラーを置いた」と書きましたが、結局ガマンできずに追加コンテンツ入りの製品版を購入してしまったのでした。
フリープレイでもらったゲームを製品版で買い直すという経験はこれが初めてです。
遊んだユーザーのほとんどが「追加コンテンツを遊んでこそ」と豪語しており、フリープレイでもらった通常版だけではもったいないかもしれないという興味が僕に購入ボタンを押させました。
まぁ、おかげで追加された新エリアで地獄を味わうことになったのですが……その難しさもひっくるめて大満足の内容でした。
特にマリア様がお気に入り。
“足りない”ことが魅力につながっている稀有なゲーム
このゲームを遊んでいて痛感するのが「とにかく説明がない」ことです。
ゲームを始めるといきなり見知らぬ街で目覚め、歩いてみたらワケもわからぬまま敵キャラに襲われて、どこへ行けばいいのか地図もなければ、そもそも何をすればいいのかすらわからない……という“ないない尽くし”なゲーム性に振り回されながら進むことを強いられます。
一見すると「なんて不親切なゲームだ!」なんて酷評の嵐が吹き荒れそうなところですが、予想に反して「そういうゲームだから」と皆(僕含む)が受け入れて楽しんでしまえるのが不思議なところ。
どこに続くかもわからぬ道を進んでみると拠点への近道になっていたり、何が起こるかわからないアイテムを使うことで初めて効力を学んだり、説明ゼロで展開する物語を自分なりに考察してみたり……とゲーム側から与えられる情報が少ないからこそ、プレイヤー自身が能動的にゲームを体験することが魅力につながっているように感じました。
特に現代ではユーザーにやさしい作りの作品が多いからこそ、こういったゲームが光って見えるというのもあるかもしれません。
とはいえ「説明不足」でも「ちゃんと面白い」というバランスに仕上げるのは簡単なことではないと思うので、開発スタッフさんの見事な手腕に感服の一言です。
ビジュアルや音楽がとにかく最高
システム面はもちろんのこと、グラフィックデザインなどのビジュアル面や作中で流れる音楽がもうたまらないほど良かったです。
全体的にグロテスクな雰囲気ではあるものの、突き抜けるほどのカッコよさに胸がアツくなるものばかりで、この世界観に触れられたのは実に有益な体験でした。
近いうちにガマンできず設定資料集をゲットしてしまいそうな予感がしております……!
未体験のシリーズ作品も遊んでみるものだなぁ。
日々新たなゲームが発売する中で、積みゲーの塔が天高く伸びていくさまに戦々恐々としています。 ただ、初めて遊ぶ作品から得られる新鮮なゲーム体験は格別なものがありますね。
やっぱり名前を知っている作品も、ちゃんと遊んでみなくては本当の魅力はわからないものだなぁと考えさせられました。