市販のDVDを違法にコピーし、まるで本物かのように振る舞い販売する「海賊版」。 公式から注意喚起されていたりするので普段から気をつけていたつもりでしたが、まさかのルートから意図せず手にしてしまいそうになったので記録しておきます。
まずは本物と偽物(海賊版)を見比べてみよう
今回、僕が海賊版をどのようにして掴まされかけたかについては後述させていただくとして、まずは手元にある本物のDVDと偽物(海賊版)のDVDとを比べてみましょう。
※ なお、偽物(海賊版)については、この記事を作成するための資料写真を撮影したあと破砕処分しております。
照明の関係で光ってしまっている部分が多々あり申し訳ありません。 ただ、仮に鮮明に写っていたとしても写真で違いを確認するのは非常に難しいくらい本物との差がなかったりします……。
全ての写真で本物は【右側・上側】、偽物は【左側・下側】に並べてあります。
まずは背表紙。 外装フィルムを剥がさない状態で撮影しました。 偽物(左)はフィルムの閉じ口がタイトル上にきています。 色合いにも微妙な違いが見られます。
限界までアップにしてみました。 偽物(左)の方が印刷の質が低く、文字やロゴの輪郭がジャギジャギしているのがお分かりいただけるでしょうか。
そして決定的な違いである印刷ミスです。 矢印部分の白いラインが歪んでいます。
両方を並べてみましたが……遠目からでは判別できません。
偽物の方が微妙に周囲がカットされている印象。バイクのナンバープレートに注目するとわかりやすいです。(手前が本物)
裏面。 やはり画質くらいしか違いが見られず。
中身。 初めて開封したままの状態を撮りました。 付録の入り方に違いが。
レーベルのデザインまで模倣。 ただ、こちらも印刷の質は低い。 向かって右側のディスクが納まる部分のフチの太さに違いが。
右側ディスクの部分だけ抜き出して並べてみました。 やはり偽物の方がフチが太い。
付録に大きな違い。 本物にだけ小さなメッセージカードとチラシ。 (これらが入っている偽物も存在している模様)
付録のメンコまで完コピ……。 しかし紙質が全く異なっている。
ブックレット。 色合いと印刷の質以外に大きな違いが見つからない。 偽物のほうが色が黒っぽい。 (裏表紙の比較がわかりやすい)
ジャケットの内側も印刷されている。 こちらも色合いくらいしか違いが見られず。
決定的と思える違いについて赤太字で記しています。 これ以外の部分は目を凝らさないと本当に違いがわかりません。
あまりにも精巧に模倣されていることに驚かされる
以上、比較写真をご覧いただきましたが、あまりにも精巧に模倣されていることに驚かされます。
『水曜どうでしょう』の公式からは以前から海賊版に関する注意が発表されており、僕もチェックはしていました。
◆ 海賊版DVDに関して皆様へお知らせ – HTB公式サイト
ここに書かれている「海外正規品」をうたう異常に安価なDVD-BOXは僕も見かけたことがあり、さすがに違和感が大きかったので手にはしませんでした。
購入してしまった人による情報によると、ジャケットの内側が本物とは違って真っ白で何も印刷されていないとのことです。(本物は内側もイラストなどがある)
このように一目見れば明らかに偽物であると見抜けるものに比べると、今回手にしてしまったものはより精巧な作りであることから、また別の海賊版である可能性が高いと思われます。
正直なところ、海賊版というのは明らかな怪しさにまみれているものばかりで「さすがに騙されないだろう……」とタカをくくってしまっていたのです。 まさかパッと見では判断のつかないレベルにまで進化(と表現するのは甚だ遺憾です)していたとは思いませんでした。
他にも精巧な海賊版は世にあふれている
海賊版について初めて詳細に調べてみたのですが、本物そっくりな模造DVDは当たり前のように世の中に氾濫していることを知りました……。
主にアイドル系グループやアーティストのライブDVDやテレビドラマのDVD-BOXの偽物が多いようで、大手通販サイトのレビュー欄やSNSなどでは写真つきで指摘されているものがいくつも見つかりました。
おそろしいことに現在ではプレミア価格のついている貴重なDVDも、オークションサイトやフリマサイトでは偽物がそのプレミア価格で取引されてしまっているようです。
どの偽物も本物と見比べてようやく分かるような作りのものばかりで、これを前知識なしで見抜くのは不可能なのではないかと感じさせられました。
本当にちょっとしたパッケージの色合いの違いやケース形状の微妙な違いくらいしか見当たらないのです。
本当にこわいのは「新品」を買っても偽物かもしれないこと
さらに調べを進めるなかでゾっとしたのが、オークションなどではなく大手通販サイトで新品のものを購入しても偽物である可能性が存在するという事実でした。
これは通販サイトの商品であっても販売・発送は別の店が行なっている販売形式の場合に起こりうるらしいです。
「Amazon」を例に挙げると、商品説明欄に書かれた販売元がAmazon.co.jp以外の出品者(いわゆるマーケットプレイス)から購入した新品のDVDが海賊版だったという事例が確認できました。
その出品者は海賊版だと自覚して販売していたかはわかりませんが、新品だと安心して購入しても偽物が送られてくる危険性は意外なほど身近に潜んでいるようです。
Amazonに限らず、こうした様々な出品者による出店型の通販サイトでは出品者の評価などの情報をよく読んで、怪しいところがないかを確認してから購入するという手順がとても大切だと痛感しました。
『水曜どうでしょう』DVDの正規販売ルートについて
最後のまとめでも触れるつもりですが、今回の件でやはり正規の販売ルートで商品を購入することの大切さを改めて感じさせられました。
今回触れた『水曜どうでしょう』のDVDについては、全国のローソンLoppi、道内のHTBグッズ取扱店、HTBオンラインショップでのみ販売されています。
そのほか非正規の入手手段としてはオークションサイトやフリマサイト、中古販売などが挙げられます。 こういった販路を利用される際には十分に注意いただきたいです。 (今回のような出来事にあった僕が強く言える権利は全くありませんが……)
《余談》ローソンLoppiで電子マネーが使えたり使えなかったり
完全に余談ですが、ローソンLoppiで『水曜どうでしょう』のDVDを取り寄せ(過去作は7日ほどかかる)した時に電子マネーで決済できたのでメモしておきます。
ローソンの公式サイト内の電子マネーで決済できない項目の説明に「Loppiの一部取次サービス」が含まれていたので、DVDの取り寄せでも払えないのかなぁと思っていたのですが、支払いの際に「電子マネーでお願いします」と伝えてみたところ、特に問題なく決済が完了できて拍子抜けしました。
その時はドコモの『d払い』にて決済しました。 ただ、その少し前に『auPay』でも支払いを試していたのですが、こちらは上手く受け付けられませんでした。 たまたまタイミングが悪かったのか、決済が可能な条件が設けられているのか……謎です。
ちなみに「楽天ペイ」はローソンでの使用可能額を一日4000円までと制限されているそうです。 となると、『水曜どうでしょう』のDVDはギリギリ4000円を超えているものばかりなので利用は難しそうですね。
とりあえず、Loppiでの注文は現金のみというイメージがあったので、電子マネーでも決済できることがわかったのは嬉しい発見でした。
《後日追記》「Loppi」でどうでしょうDVDを買う時に使えた電子マネーの記録
僕がこれまでにローソンの「Loppi」で水曜どうでしょうのDVDを取り寄せ注文した際、決済することができた電子マネーについて記録しておきます。
- d払い(コード決済)
- ファミペイ(コード決済)
「dポイントカード」でのポイント付与も確認済み。 僕は「dポイントカード」を提示したあと、「ファミペイ」で決済できました。 (「ponta」もいけそう?)
なお、現在も使用可能かどうかはわからないのでご注意くださいませ。 店舗によって状況が異なる場合も考えられますので、事前に使えるか確認した方が確実かもしれません。
ちなみに、店員さんによっては「現金のみ」と言われることがあるかもしれませんが、Loppiから出てくる注文用レシートの一番下に「現金のみ」と記載されていなければ電子マネー決済できるはずです。 (どうでしょうのレシートには記載なし)
僕の場合はフリマサイトがきっかけだった
さて、僕は一体どのようにして海賊版を掴まされかけたのかについて書いていこうと思います。
僕は以前から某フリマサイトを利用していて、時に不用品を売却したり、時に貴重な一品を譲り受けたりなどしていました。
ある日、いつもと同じように何か目ぼしいものが出品されていないかチェックすることにしました。
そこでたまたま見つけたのが『水曜どうでしょう』のDVDだったのです。 今思えば、ちゃんと正規の販路で手に入れる意志さえあれば今回のような出来事が起こることもなかったわけで……。 きっとバチが当たったのだと思っています。
パッと見は違和感もなく……
商品ページを見たところ写真や説明欄も際立って怪しいところはないように感じられました。 しかし、今になって思い返すと些細な違和感は点在していた気もします。
写真については本物そっくりの偽物を写したものなので到底見分けはつきません。 小賢しいことに写真の解像度(画質)もわざと少し落としているようなんですよね。 微妙に手ブレしたような写真でした。
ただ、「新品・未開封」での出品だったのである程度の状態がわかればいいやという油断が生じてしまったのも事実です。 今思うと、「新品」でDVDが出回っているというのも少し妙な気もするのですが……。
その時は正規ルートで新品を購入した人が未開封のまま保管していたものを手放す、いわゆる“コレクション整理”での出品は珍しくないと思ってしまいました。 事実、オークションサイトなどの個人間売買の場ではありうる光景なので判断が難しいところです。
商品説明欄にはDVDの説明がズラッと並んでいました。 パッケージ裏面の文章をそのまま載せたコピペのような感じです。 しかし、こういう書き方をする出品者さんも普通にいるんですよね。 手間を惜しんでなのかわかりませんが……。 海賊版の存在を認識する前だったこともあって、特に気にとめることなくスルーしてしまいました。
疑いが芽生えたのは購入手続き後のやりとり
結局そのまま疑うこともなく購入手続きを進めてしまいました。 そして、すぐ出品者からメッセージが届きます。 が、これが奇妙な違和感の始まりでした。
メッセージはもちろん日本語で送られてきていたのですが、明らかに文章の構成ががおかしくて翻訳サイトで変換したような文言なのです。
もちろん日本語が母国語でなくともフリマサイトを利用している人もいらっしゃるとは思うのですが、そのメッセージを見た瞬間からイヤな胸騒ぎが止まりませんでした。
そこからさらに違和感は加速していきます。 先のメッセージのおよそ5分後には「発送完了」の通知が。 絶対におかしい。 コンビニや郵便局にでも住んでいるのか……?
そこで改めて出品者のプロフィールを確認してみると「プロフィール画像がない」・「本人確認が済んでいない」・「取引履歴が数件のみ」といった怪しいところだらけだったことに気がつきました。 (でも普通の利用者さんでもこういう人はたくさんいるんです……ホント難しい)
さらに僕が購入して少し経ってから、その出品者が続々と商品を出品し始めたのですが、その全てがDVD。 そのDVDのタイトルで検索をかけると、どれもが海賊版の報告が見つかるものばかりという……。
このあたりで僕の中で「海賊版を買ってしまった」という疑念がほぼ確信に変わりつつありました。
そこからすぐに海賊版について調べ始めます。 そのフリマサイトで同様に海賊版を買ってしまった人がどのような対処をしたかについてや、返品の手順についてなど冷や汗をかきまくりながら奔走しました。
品物はどうやら国外から送られてきた……?
品物は発送通知から一週間以上経って届きました。 いつも利用している馴染みの宅配業者だったのですが、どう見ても国内便の荷物には見えません。
そもそも、荒天など配送への影響もないのに一週間以上も日数がかかる国内便というのは聞いた事がありません。 もしかすると離島であれば可能性があるかもしれませんが、発送地は「大阪」でした。
そして、この「大阪」というのが今回の件で重要なキーワードとなります。 調べを進めるなかで「貴金属の偽物が送られてきた」という記事を見つけて読んでみると、「国外で作られた偽物は関西から国内転送され配送される」という説明がありました。
商品ジャンルこそ違えど、かなり近しいケースだと言えるでしょう。 下記がその記事です。
◆ フリマアプリで偽物を売る「インチキ業者」の見抜き方5つのポイント – ダイヤモンド・オンライン公式サイト
品物を確認後、運営へ連絡
届いた品物を確認したところ、冒頭に載せた写真のとおり一目で偽物だと判断できるものでした。 しかしながら、疑いの目で凝らして見なければ気付けない程度の差だというのは恐ろしいことです。
誤って海賊版を購入してしまった際に重要なことは、まずは利用したサービスに相談をすることです。 フリマサイトなどの場合、加えて重要なのが「絶対に受取評価をしないこと」です。 受取評価を送った時点で取引完了扱いとなり、運営側も介入することが難しくなってしまうためです。
とにかく、フリマサイトであれば運営、通販サイトであればカスタマーサービスといったお問い合わせ窓口が必ず設けられているはずなので「購入した商品が海賊版である疑いがある」といった旨を連絡しましょう。
しかし、言葉で「これは海賊版だ!」と伝えるだけではなかなか取り合ってもらえないと思います。 比較写真など海賊版だと断定できる証拠が必要となってきます。
幸いだったのは今回届いた偽物に一目瞭然な違い(印刷ミスなど)があったこと、出品者の行動に違和感が多かったことです。 それらを列挙して運営に相談したところ、出品者が規約違反(模造品の出品)を犯していると認めてもらうことができました。
返品を要求したが相手は雲隠れ
その後は運営から送られてきた今後の手続きに関する案内に従います。 僕が利用していたフリマサイトでは出品者への返品が完了することで正式に取引がキャンセルとなる決まりでした。
そのため返品の希望を僕から出品者へと伝えたところ、ずっと相手からの返答はなし……。 (その間も他の購入者さんとやり取りしている痕跡あり)
結局、「相手との連絡が取れない場合は運営の判断によってキャンセル」という規約が適用され、こちらには購入代金も無事に戻ってきて事なきをえました。
ちなみに、運営からは「返品できなかった偽物は処分してもらってかまわない。ただし、出品することは禁止」との連絡も受けました。 もちろん売るつもりなどなく、この記事を書き上げた時点で破砕済みです。
とにかくドッと疲弊した数日間だった
なんとか模造品であることに気が付いて取引キャンセルしてもらうことができて安堵しています。 しかし、偽物が届くまでの数日間に味わった不安や焦りは忘れることができません。
その間にも同じ出品者の品物が続々と売れていき取引完了していく様を見ていることしかできなかったのが悔しいです。 とはいえ、こんなのは氷山の一角にしか過ぎないのでしょうね。 恐ろしい世界を目の当たりにしました。
もし「騙される方が悪い」なんて思われたとしても、今の僕には返す言葉もなければグゥの音も出ない心境でございます。 情けない限り……。
どこか自分の中で「ネット利用には慣れている」という驕りがあったのかもしれません。 それを叩き直してくれたという意味では良い薬になりました。 (メチャクチャ苦かったですが)
《余談》『ゲームセンターCX』の海賊版も出回ってるみたい
特定の作品を取り上げるべきかは悩むものの、発見してしまったので触れておきます。
アーティストのライブDVDやドラマ作品の偽物に並んで、人気ゲームバラエティ番組『ゲームセンターCX』のDVD-BOXも海賊版が出回っているようです。
市販のDVD-BOXさながら、ちゃんと箱に2つのDVDケースが収められて帯まで付いており、外装フィルムにも包まれて新品・未開封として販売されています。 これも写真で見分けをつけるのは困難でしょう。 憎たらしいくらい精巧です。
……が、本物と比べると特典について書かれた丸いシールの貼られている位置が違ったりなど、微かな差異を見つけることができました。 逆に言えばそれくらいしか外見で判断できる箇所が無いとも言えます。
正直、これだけ多くの出品物の中から欲しいものが本物かどうかを毎回判別しながら購入するというのは心身ともに負荷が大きいので、今後は間違いの起こらない正規のルートで入手することを心に決めました。
これもひとつの「安物買いの銭失い」という戒め(今回は未遂)として胸に刻んでおきます。
購入する際に気をつけるべきこと
今後、自分の中で気をつけるべき項目をいくつか列挙してみました。 こうして文字にすると当たり前のことしか書いていません。
でも、この当たり前の事柄を当たり前にこなすよう意識することが非常に重要だと身にしみました。
- 商品説明をよく読む
- 異常に安いなど適正でない価格のものは避ける
- 出品者の過去実績に怪しい点がないか確認する
- 他の購入者によるレビューに目を通す
- 返品規約を確認しておく(開けたら返品不可などもあり得る)
- そもそも公式による正規の販路を利用して購入する
やっぱり正規の販売ルートで買うことが大切だ
今回の出来事は過去に自分が購入したDVD全てがちゃんと本物かどうか心配になってしまうくらい衝撃的でした。 (幸い他のDVDは大丈夫そうです)
やっぱり公式へちゃんと利益がいく購入方法こそが正義なのですよね。 もう、ホント、大反省です……。
作品を応援するファンとしての在り方についても深く考えさせられる機会となりました。 皆さんもどうぞ、お気をつけくださいませ。