イラストレーター・丹地陽子さんの初となる画集がついに発売しましたね。 書籍だからこその仕掛けも盛り込まれた、読んでいて楽しい一冊でした。
待ち焦がれていたイラストレーターさんの初画集
イラストレーターとして書籍の装画をはじめ、多岐にわたる分野のイラストレーションを制作されている丹地陽子さんの作品集が発売されました。
丹地さんがこれまでに手がけられた商業作品やご自身がSNSで発表されている「I hate Mondays」シリーズの中から厳選されたイラストが収録されているとのことです。
出版社(PIE International)のWebサイトでは「約20年の画業の軌跡をたどる、待望の初画集!」と銘打たれています。
これまでずっと丹地さんの作品が画集としてまとめられたらいいなぁと願い続けてきたので、今回の初画集発売は本当に嬉しくてすぐに予約してゲットしました。
ほぼイラストのみ、まさしく“作品集”な構成
ページ内の要素はほぼイラストのみ、他にはノンブル(ページ番号)があるだけなので作品に意識を集中して眺めることができて良いです。
作品の縦横比によってはページ内に余白が設けられているのですが、その余白の取り方すらも作品の一部として計算されているのではと感じる構成で、ページをめくるのが楽しくなります。
なんだか、画集を手に持って読んでいるのにまるで自分が静かな美術館を歩きながら作品を観ているような気持ちになりました。
上手く言語化できなくて歯がゆいのですが、そんなイメージ。
作品クレジット・あとがきも
文字情報が削ぎ落とされているのはあくまで作品ページだけで、巻末には掲載作品が使われている書名や制作年などの情報が一覧できる作品クレジットや丹地さんによるあとがきコメントが載っていました。
作品クレジットが載っているのは画集としては当たり前かもしれませんが、イラストがどんなところで使われたのかなどといった情報がしっかりとまとめられているというのは読み手としても非常にありがたいものです。
画集でイラストを観て、それが表紙に使われている小説に興味をもって手に取ってみる、なんてことも度々あったりするので……。
「紙の本」の良さがじんわり沁みる
この画集を手に持ってページをめくっていると「紙の本もやっぱりイイなぁ……」としみじみ感じさせられます。
といいますのも、画集の中の数ページが他とは違った材質の紙に印刷されているので、ページをめくると異なる触感の時があったりして面白いんです。
ツルツルしていたり、ザラザラしていたり、触感ではないけれどインクの香りがしたり……紙の本の魅力が改めて感じられました。
もちろん電子書籍の利便性もとても素晴らしい。 それぞれに色々な良さがあります。
画集ってやっぱりワクワクする
ページをめくるのが本当にワクワクするんですよね、画集って。
特に丹地さんの作品は絵柄(テイスト)が幅広いため、読み進めるたびに色々な作風のイラストを楽しむことができるのがもう最高です。
先に挙げたような紙の本独特の遊び心もあったりして、なんだか展覧会を観てきたくらいの大満足感が得られたステキな一冊でございました。
以前出た雑誌の特集号もイイんだなぁ
以前紹介する記事を書きましたが、雑誌『イラストレーション』で丹地さんのことが特集された号がありました。
数年前の発行ではあるものの、インタビューなどが充実して読み応えがあるのでオススメです。 ただ、雑誌なので現在では新品の入手は難しいのが惜しいところ。
今回の画集と合わせて読むとより楽しめそうです。
◆ 丹地陽子さん特集『イラストレーション(2018年3月号)』 – rokumicro