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ジブリ映画の制作現場を追ったDVD『「もののけ姫」はこうして生まれた。』を観ました。

ここのところ映像作品をよく観るということを他の記事でも書いておりますが、引き続き色々なDVDを楽しんでおります。 今回は『「もののけ姫」はこうして生まれた。』というDVDを観てみました。

『もののけ姫』公開までの約2年間を追ったドキュメンタリー

今回観たDVD『「もののけ姫」はこうして生まれた。』は、タイトルのとおりジブリ映画『もののけ姫』の制作開始から完成・劇場公開されるまで約2年間にわたって制作現場をカメラで追ったメイキング・ドキュメンタリーです。

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『もののけ姫』の企画立ち上げから映像がはじまり、そこから作品設定が生み出され、物語や登場人物が構想され、絵が一枚一枚描かれ、声が吹き込まれ、音楽が付けられ、広告が打たれ……と、一本の映像作品が白紙の状態から世に発表されるまでが明らかにされています。

映像としてはやはり作品制作の主戦場ともいうべきスタジオジブリで働く人々とそれを率いる宮崎駿監督の動向がメインとなっていました。 それがDVD3枚組、時間にして6時間を超えるとんでもないボリュームで楽しむことができます。

とはいえ、全編あまりにも面白い内容だったので観終わっても微塵も疲れを感じることがなく、それどころか「スゴいものを観たッ……!」としばらく興奮がさめやらない状態でした。

「モノ作り」という名の闘いとその現場

このドキュメンタリーでは宮崎駿監督を中心としたスタジオジブリ内で活躍する多くの人々の手によって、『もののけ姫』というひとつの作品が少しずつ形を成していく様が描かれています。

映像のみならず、あらゆる「モノ作り」は無から有を生み出すことでありますが、それは決して簡単な道のりではありません。

同様に『もののけ姫』も何もない状態から作り上げられていく上で制作が容易ではなかったことが宮崎駿監督の姿とともに映像として記録されていました。

物語の展開に悩み頭を掻きむしりながら考え込んだり、何日も掛けて考えた新たな物語案を自分でバッサリと切り捨てたり、登場人物の機微を絵で表現するために何度も描き直したり、画面の端々に映る小さな要素ひとつひとつの色合いに悩んだり……と挙げきれないほどの作業をこなし、しかもそのどれもが妥協を許さない密度で行われているのを観てつい感嘆の声が漏れました。

そして、そんな監督とともに良い作品を作り上げるため、スケジュールが迫るなか全身全霊をかけて制作に励むスタジオジブリの各部門の人々の姿にも胸打たれます。

アニメーションとなる絵を描く原画・動画制作部、キャラクターや物の色を決める色彩設計部、色彩設計で決まった色を実際に塗っていく着彩部、背景となる絵を描く背景美術部、出来上がった絵を組み合わせて映像にしていく撮影部、手描きでは表現しきれない映像を生み出すCG部……など、本当にたくさんに人々の力が合わさることでひとつの作品として結実していることを実感させられました。

ジブリの外での奮闘も知ることができた

出来上がったアニメーションには登場人物に声が吹き込まれ、音楽(BGM)や効果音がつけられることで一本の映画となります。 そして、その作品の存在を世間の人々に知ってもらうためにテレビCMや新聞・雑誌広告が打たれ、劇場公開の日をもっていよいよお披露目となります。

DVDの後半では、アニメーション制作以外の部分に携わる人々の“闘い”にフォーカスがあてられていました。

登場人物に声を吹き込む声優さん・役者さんによる音声収録の現場では、宮崎駿監督の思い描くセリフのニュアンスをつかまえるために何度も何度も音声を録り直しながら、少しずつ理想の人物像へと近づいていく様子が映されます。

リテイクを繰り返すなかで登場人物の心情を理解するために悩み、それを伝える声色を自分の中で必死にたぐりよせ演じる姿に、これはまさしく命を吹き込む作業なのだと感じさせられました。

そのほか、糸井重里氏によるキャッチコピー「生きろ。」が生まれるまでの手紙によるやりとりや、鈴木敏夫プロデューサーを中心に熱い議論が交わされる宣伝会議、主題歌の歌い手として米良美一氏が起用されたきっかけや楽曲収録の様子……など、文字数が膨らみすぎるので詳細には触れませんがとっても面白い内容が目白押しとなっています。

そういえば、これを観ていてDVDに登場する鈴木敏夫プロデューサーや久石譲氏(楽曲制作を担当)の著作を読んで面白かったのをふと思い出しました。 読んでからずいぶん月日が経っているので久しぶりにまた読んでみようかなぁ。

『もののけ姫』に関する新たな発見もたっぷり

個人的にこのDVDでテンションが上がったのが『もののけ姫』という作品の世界観や映像描写に関する解説です。 メイキング・ドキュメンタリーということで作中のワンシーンを取り上げて、そのシーンの絵がどのように作り上げられているのかといった解説も入っていました。

例えば、宮崎駿監督が描いたアニメーションを一コマずつ再生してその表現力の豊かさや、背景美術の森林が絵を何枚も重ねることで一枚の背景になっていること、手描きのように見えて実は3DCGによって実現した絵であったりすることなど、『もののけ姫』という作品の映像表現を様々な角度から捉えています。

擦り切れるほど『もののけ姫』本編を観てきたにも関わらず初めて知るような事柄も多く、僕にとって数十年越しに作品の秘密が明らかになったような高揚感に打ち震えながら画面にかじりついておりました。

どの解説もさらっと流すわけではなく、きちんとその箇所を担当した部門のクリエイターに直接インタビューしているところが素晴らしいと思います。 どのような意図で制作し、実現までにどのような苦労があったのかなどが担当者本人の口から明らかになるというのは貴重ではないでしょうか。

『もののけ姫』の魅力がより深くなった気がする

『「もののけ姫」はこうして生まれた。』を観終わった後は、とにもかくにも本編がもう一度観たくなりました。

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この作品が生み出されるまでの道のりとそこに込められたこだわりを知った後では、自分の中で明らかに
『もののけ姫』に対する印象が変わっている気がします。

今まではなんて事のないように感じていた短いワンシーンであっても、今後はまばたきすることもはばかられるくらい画面を見つめてしまうことでしょう。

「モノ作り」という壮絶な闘いに目にして、それに携わる人々に畏敬の念を抱くとともに、何者でもない僕でも「自分も頑張ろう!」と物凄く元気をもらえる、そんなドキュメンタリー映像でした。

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余談ですが、マンガ『ワンピース』の作者・尾田栄一郎先生が鈴木敏夫プロデューサーのラジオ番組にご出演された時に、この『「もののけ姫」はこうして生まれた。』を「ジブリ作品で一番観てるDVD。すごく元気をもらえる」と絶賛されていたのだとか……!

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六味

六味

アニメゲームが大好き。最近は美術館へ足を運ぶことにもハマっています。このブログでは触れた作品や訪れた場所についての感想などを書いています。