先日、山梨県富士川町にある「富士川町ますほ文化ホール」にて行われた、津軽三味線の兄弟奏者「吉田兄弟」による演奏公演を聴いてきました。
生で体感する三味線の迫力に圧倒された
日本のみならず世界各国で活躍されている「吉田兄弟」の演奏を聴くことができるチャンスが身近にやってきたということで足を運んだ今回の演奏公演『三味線だけの世界』。
そのタイトルどおり舞台に登場したのは吉田兄弟のお二人のみで、もちろん演奏楽器はそれぞれが手にする三味線2棹だけ。 僕がよく聴いていた吉田兄弟の楽曲はロックバンドとのコラボ曲などが多かったので、三味線だけの演奏公演というのがうまくイメージできていませんでした。
しかし、演奏が始まって鳴らされた三味線の力強い音色に会場の空気は一変。 僕も息をするのを忘れてしまうくらい舞台上の二人に釘付けにされてしまいました。
三味線の音色は耳だけでなく身体で感じられる
演奏が始まってすぐ会場内に響き渡った三味線の「バシィッ!」という力強い音色は、今までに体験したことのないものだったので感動よりも先に驚きという感情がきました。
弾くというよりも叩きつけるようにして発せられる音を、耳だけでなく全身でビシビシと受け取るような感覚に「これはCDでは味わえないぞ!」と肌が粟立った瞬間が忘れられません。
花火を映像で見るか、実際に打ち上がっているのを観るかの違いみたいなものでしょうか。 音が鼓膜だけでなく身体も震わせる演奏には、生で聴くという音楽の醍醐味の一つを再認識させてもらいました。
やっぱり身をもって体験するって大事かも
三味線の音には映像や音楽CDを通して触れたことがあったものの、奏者を目の前にして聴くことで得られる情報量の多さには本当に驚かされました。
今回の演奏公演を聴いて、実際に自分の身をもって体験し肌で感じることの意義を考える良いきっかけをもらえた気がします。
今の時代、スマホをちょこっと触って検索すれば、知らないことに関する知識を手軽に得られる便利な世の中です。 でも、だからこそ検索した情報だけで満足してしまわずに、可能な限り実際に五感で感じて体験することを意識していきたいなと改めて感じました。
無意識に行ってきたことですが、美術館に足を運んで作品の前に立つことも、これと同じことなのかもしれません。
《思い出話》 吉田兄弟を聴くと、とある記憶が蘇る
「音楽」って記憶と深い関係にある気がしてなりません。 お気に入りの楽曲を聴いた拍子に遠い日の思い出が頭の中に浮かび上がるということが今までに何度もあります。
そんな楽曲の一つが吉田兄弟の『RISING』という曲で、僕が初めて吉田兄弟を知るきっかけの一曲でした。 今でもよく聴いているくらいお気に入りです。
現在はYouTubeの公式チャンネルで視聴することができるようです。 なんと便利な。
◆ 吉田兄弟『RISING』 – YouTube公式
この曲を聴くときまって学生時代の受験当日の朝を思い出してしまいます。
受験会場へ向かう最中この曲を聴きながら移動していたというだけなのですが、フレーズを少し耳にするだけであの日の空模様や道の様子、自分が感じた緊張までもが克明に脳裏に蘇ります。
今回の演奏公演では残念ながら聴くことがかなわなかったものの、“吉田兄弟”に関連してちょっと思い出してしまった余談でした。
音楽の力ってフシギですね。