予約注文していた『響け!ユーフォニアム3 メモリアルファンブック』が届きました。 10年続いたシリーズの一区切りでもあるため、載っている内容のどれもが胸に沁みます……。
TVアニメ第3期を総まとめした一冊
『響け!ユーフォニアム3 メモリアルファンブック』は、2024年4月にTV放送されたアニメ「響け!ユーフォニアム3」の公式ファンブックです。
制作を担当した京都アニメーションの他作品と同様に今回の書籍も一般流通はしておらず、京都アニメーションの関連グッズ直販サイト「京アニショップ!」にて購入できました。
◆ 響け!ユーフォニアム3 メモリアルファンブック – 京アニショップ!
TVアニメ第3期(全13話)と直前に劇場公開された特別編『アンサンブルコンテスト』に関する内容がまとめられていて、各話解説のほか声優さんや制作スタッフさんのコメント・座談会が掲載されています。 各話解説にはエンドカードのイラストも載っていて嬉しいです。
内容のほとんどがコメントやインタビューで構成されているのでページの隅々まで文字がギッシリ。 ページ数(厚み)から受ける印象よりもずっと読み応えがあります。
作り手がどんな思いで作品を作り上げたのか知りたい人間なので、そんな欲求にピッタリとハマる素晴らしい一冊でした。
《余談》 読んでみて納得の価格感
今回のファンブックは過去作の公式本と比べるとなかなかの値上がり幅になっています。 これはもう世の中全体の物価高などが関わっているのだろうし様々な大人の事情もあるんでしょう。
正直なところ、予約時点では「高いッ!」と叫びました。 既刊の倍以上の差なので……。
それでも届いて読み終えた時には、この金額を出すだけの価値ある内容だったと満足できました。 もし価格で悩んでしまっている人がいたら「読むべし!」と背中を押したくなるくらいに。
京アニ作品の関連商品は販売方法が特殊なので品切れになってしまうと手に入れるハードルが一気に上がってしまう印象があります……というか過去に経験済みです。(詳しくはコチラ)
なので、少しでも気になったら手にとってしまうのが吉かと!
10年という積み重ねに対する思いにふれる
『ユーフォ3』は10年続いたシリーズの完結編でもあるわけで、この本に掲載された作り手のコメントにはTVアニメ第3期だけでなく10年間全体の積み重ねに対する思いがあふれています。
キャスト陣、監督やシリーズ構成をはじめ作画・色彩・演出・背景・撮影・音響といった各部門ごとに作品に注ぎ込んだこだわりの数々が詳細に語られていて、ページをめくるたび感嘆の声を上げながら読みました。
第3期における注目ポイントはもちろん、過去作からの10年間を経て表れた作風の変化についても言及されているので今一度はじめからシリーズを振り返ってみたくなります。
「神は細部に宿る」を実感させられる
『響け!ユーフォニアム』は僕のような素人目にもよくわかるくらい映像や人物描写、演出、音楽が美しい作品です。 そのクオリティを支えているのは各部門の作り手一人一人による非常に繊細なこだわりなのだと感じました。
部門ごとに技術的な内容がたくさん語られていますが参考画像や注釈も添えられているのでちゃんと理解を深めながら読み進められます。
一例を挙げると演奏シーンでは吹いている時に楽器を微かに振動させているのだとか。 恥ずかしながら読むまで知りませんでした……! でも、こういった一見気付きにくい細かな作り込みが確かな完成度に繋がっているんでしょうね。
どのシーンも画面の隅々まで誰かがアイデアを考え抜いて作品が出来上がっているという事実に改めて思いを馳せると、こちらも目を皿のようにして観るくらいでちょうどなのかもと背筋が伸びる思いです。
最も知りたかった12話の改変の意図も
『ユーフォ3』は原作小説『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章』(前・後編)を元にしたTVアニメですが、アニメ化に際していくつかの変更が加えられています。 中でも第12話は原作小説と大きく異なる展開をみせて話題となりました。
僕もあらかじめ原作を読んだうえで視聴していたのであの展開には衝撃を受けました。 主人公・久美子にとってあまりにも辛く苦しい……。 ただ、最終話まで見届けた感想としては「原作とは違うけれど、こちらもまた良い物語」と思っています。
この改変について僕は好意的に受け入れられたものの、それでも「何故これだけ大きな変更を?」という疑問は放送終了時から尽きませんでした。 今回この本に掲載された監督・石原立也さんとシリーズ構成・花田十輝さんの対談記事にて語られた“アニメ化における原作改変の意図”について読んだことで疑問は解消され納得感を得られました。
この疑問に答えを得られるかどうかを今回の本に期待していた部分もあったので購入理由のひとつにしっかりと応えてもらえた内容で満足しています。
なお、原作を元にした作品の映像化と内容の改変について大きな関心が集まる昨今ですが、『ユーフォ3』については原作者の武田綾乃先生に了解を得た上での改変であることは心に留めておくべきでしょう。 先の対談記事では原作者の意図から離れたキャラクター表現になっていた部分を武田先生が監修し修正されたエピソードも語られていたので、アニメ化における変更点については綿密な擦り合せがあったことがうかがえます。
『ユーフォ3』における原作との相違点について何かしらの感情を抱いている人はこの本を読むと気持ちの整理がつけられるかもしれません。 ……確約はできませんけれども!
メディアミックスの味
TVアニメ化・映画化・ゲーム化など原作から派生して生み出されるメディアミックス作品について、僕はそれぞれに良さが違っていてそれぞれの楽しみがあるものが好みです。
その媒体でしか味わえない良さが際立っていたり、逆に表現し得ない部分があっても他のメディア作品の魅力を引き立てて影響し合うようなところがあるとメディアミックスとして趣深いなと感じます。 原作に対するリスペクトが不可欠であることはもちろん大前提で。
ただ、変化が大きすぎると拒否反応が出てしまう気持ちもよくわかります。 僕も大トラウマになっている作品は普通にあります……。 このさじ加減は本当に難しいのでしょうね。
『ユーフォ3』に関しては最終的な着地点は同じながらも物語から受ける印象に違いがあったわけですが、僕にはそれを優劣で比較することはできないしどちらもすごく好きだという受け止めです。
久美子個人としての願いと3年間の努力の結果は原作とアニメとで大きく分かれたものの、どちらも最後には同じ場所に立っていたところに尊いものを感じました。 原作の久美子は「だから吹奏楽が好き」、アニメの久美子は「それでも吹奏楽が好き」なのかなぁと勝手に想像しています。
これを踏まえてもう一度本編を振り返りたい
この本を読んで一度観ただけでは気付けていなかった魅力をいくつも知ることができたのでまた本編を楽しみたいです。
すでにDVD/BDは単巻仕様で発売中ですが、まとまったBOX派なもので今は少し様子見中。
とはいえ単巻の売上なくしてBOX化はないかもしれないので悩ましい。 申し訳なく思いつつも枚数の多さとか収納場所のひっ迫とか、いろいろ切実でして……。
といったところにテレビで一挙再放送のお知らせが! 年明けすぐらしいですよ。 番組サイトのお知らせ欄に記載がありました。
◆ アニメ 響け!ユーフォニアム3 – 番組公式サイト
ひとまず再放送を楽しませていただきつつ、BOX化を待ちたいと思います。 発売してもらえたらすぐ! すぐポチれますから自分!
関連リンク
◆ 京アニショップ! – 公式通販サイト
◆ TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』 – 番組公式サイト