ゲームブランド「InnocentGrey」によるアドベンチャーゲーム『FLOWERS』シリーズ。 「春編」「夏編」「秋編」「冬編」の全4編からなる作品で、今年3月に冬編が発売されたのを機にひとつずつ遊んでみたところ見事にドハマりしました。
女学院を舞台に紡がれる百合ミステリADV
『FLOWERS』シリーズは全寮制の女学院(聖アングレカム学院)を舞台に少女たちの学園生活や恋模様、そして学院に秘められた謎が描かれていくADV(アドベンチャー)ゲームです。
小説『マリア様がみてる』などに代表される、いわゆる「百合」と呼ばれるジャンルの一面も持っており、選ばれた生徒と学院内での生活を共にする「アミティエ」制度によって育まれる少女同士の友情や恋愛といった人間模様が魅力の一つです。
<余談> 先日『マリア様がみてる』の原作小説を全巻一気買いしたという記事を書いたのですが(記事はコチラ)、『FLOWERS』シリーズ制作者さんのインタビュー記事(※1)で『マリみて』から影響を受けているという話を読んだことがきっかけの一つだったりします。
『FLOWERS』シリーズは「春編」「夏編」「秋編」「冬編」の4本が発売されており、それぞれで主人公(プレイヤーの分身)となるキャラクターを変えながら学院に隠されたとある謎に迫っていくというひと繋がりの物語になっています。
各編で主人公となったキャラクターは心情まで掘り下げて描かれるので、他の編で登場した時とはまた違った印象を見せてくれるところも面白いポイントでした。
美麗なグラフィック・音楽に心をつかまれる
こういったジャンルの作品に触れるのは珍しいこともあって、キャラクターや背景美術などの美麗なグラフィック・学院内の清々しい雰囲気を形作る音楽にすぐに心を掴まれました。
特に音楽(劇伴)はアコースティック楽器の音色が耳に心地よく、霜月はるかさんや鈴湯さんによるオープニング・エンディング主題歌も良い曲ばかりで、サントラ4枚の購入をガマンできませんでした。
- FLOWERS 春編 ORIGINAL SOUNDTRACK -PRINTEMPS-
- FLOWERS 夏篇 ORIGINAL SOUNDTRACK -ete-
- FLOWERS 秋篇 ORIGINAL SOUNDTRACK -AUTOMNE-
- FLOWERS 冬篇 ORIGINAL SOUNDTRACK -HIVER-
主題歌の中でも「秋編」のオープニング主題歌『虹の魔法』がお気に入りでサントラCDを手に入れてからこっち、ずっと聴き続けています。他の主題歌は静かな曲調が多い中、明るく跳ねていくような雰囲気がすごく好きです。ゲーム内の映像も曲と合って良いんですよね。
◆ 『FLOWERS 秋編』オープニングムービー – Youtube公式
ハマりすぎて発売予定のドラマCDや画集を即予約
「春編」に触れて、あまりの面白さに一気に「冬編」まで遊ぶくらいハマッてしまい、そのまま勢いに身を任せて4月発売のドラマCD『スノーホワイト』や6月発売の画集を即予約してしまいました。
ドラマCDは先日発売したので早速聴いてみましたが、本編中ではあまり掛け合いの無かったキャラクター同士のやりとりや新たな一面に触れることができて新鮮でした。このCDでは出演されていない声優さんの担当キャラっぽく演じられた登場人物もいて微笑ましかったです。声優さんの声帯模写の力に驚かされました。
今までドラマCDってあまり聴いたことがなかったのですが、音楽(+効果音)とキャラクターの声だけで一つの物語を描くというのは凄いですね。ゲーム本編で学院内の風景やキャラクターの容姿を見たことがあるおかげで、音だけという限られた情報でも容易に頭の中に情景が浮かんでくるというのが不思議な気分でした。
6月発売の画集にも本編完結のその後を描いた短編小説が掲載されるということで今から楽しみにしています。特殊な造りのために限定生産とのことなので、「買わずに後悔するより買って……」の心でえいやっと予約してしまいました。
欲しいのはもちろん、作ってくれた人たちへの応援もしたかった
即予約したのは純粋に欲しかったのはもちろんですが、この作品を作ってくれた人たちを売上という形で応援できればと強く思ったからです。
『FLOWERS』の制作者さんへのインタビュー記事(※2)の中で「開発費の回収という点では、『FLOWERS』 は完全に成功しているとは言えません。」とシリーズの売上について触れられており、シリーズ作品の続編が発売することは決して当たり前のことではないのだと再認識させられました。
※2 おたぽる「Innocent Grey『FLOWERS』完結!クオリティーに一切の妥協を許さないブランド姿勢…春篇~秋篇を振り返る スギナミキインタビュー前編」より
買って応援することの大切さを知る
ゲームに限らずマンガなどもそうですが、続編が制作されるかどうかの判断は前作の売上(さらに言えば発売直後の初動)によって大きく左右されるという話を聞いたことがあります。
『FLOWERS』は「春編」「夏編」が発売するくらいのタイミングで存在を知ってはいたのですが、「冬編」が出るのを待って一気に遊ぼうという思いから購入がここまで遅れてしまいました。
自分ひとり分の売上にどれだけ影響力があるかはわかりませんが、興味のある作品・好きな作品はなるべく発売されたタイミングで購入して応援していくことは大切だと痛感しました。「冬編」まで遊ぶことができて本当に良かった……。
そういった経緯もあって、発売予定のグッズを一気に予約してしまったワケです。こんなに「お布施させてくれ!」という気持ちになったのには自分でも驚きました。そう感じさせられるほどに良い作品に出会えたことに感謝しています。
作り手への応援にもなるということを意識できるようになったおかげで、新品を購入することに対して気持ちよくお金を使えるようになった気がします。
作品としての魅力に触れただけでなく、いちユーザーとしてとても大切なことを勉強させてもらった作品体験でした。