『サザエさん』『いじわるばあさん』などで有名な漫画家・長谷川町子さんのコミックエッセイ「サザエさんうちあけ話」「サザエさん旅あるき」が収録された『長谷川町子全集 (32)』を読みました。
長谷川町子さんのことが知りたくて
『サザエさん』はTVアニメ版しか観たことがなく、原作マンガには今まで触れたことがなかったのですが、たまたま読んだ何冊かの書籍で長谷川町子さんのマンガ作品の魅力について語られているのを目にして興味を持ってしまいました。
少し調べてみると、どうやら『サザエさん』などのフィクション作品だけでなく長谷川町子さんが自身のことをマンガにして描かれたコミックエッセイ(『サザエさんうちあけ話』『サザエさん旅あるき』)も出ていることを知りました。
僕はエッセイやコラムといった書き手の人となりが伝わってくるような作品を読むのが好きなので、『うちあけ話』『旅あるき』のことを知ってからというもの「サザエさん」よりも長谷川町子さんのことへと興味が移っていきました。
さっそく『うちあけ話』『旅あるき』を購入しようとしたところ、文庫版など様々な版で販売されていることがわかり、ちょうど『うちあけ話』『旅あるき』が1冊にまとまっている『長谷川町子全集(32)』が見つかったのでこちらを選ぶことにしました。
「サザエさんうちあけ話」
長谷川町子さんがマンガ『サザエさん』を連載を開始するまでのエピソードや、連載中に起こった出来事がコミカルなタッチで描かれていました。
詳しく存じ上げないまま読んだので驚いてしまいましたが戦争を体験されていたんですね。『サザエさん』の連載を開始するまでのエピソードの中で戦争体験についても描かれています。
その他、長谷川町子さんを取り巻く家族や知人といった一癖も二癖もあるユニークな人達との関わりもマンガで語られていて、どのエピソードも面白かったです。
「サザエさん旅あるき」
こちらは長谷川町子さんの旅先での思い出がマンガになった作品で、主に外国を旅した時のエピソードが語られていました。旅行がお好きだったんですね。
長谷川町子さん自身のことだけでなくお母さんやツアーで一緒になった旅行者が起こした珍妙な出来事も面白おかしくマンガにされていました。人の動きをよく見る観察眼はさすが漫画家。
旅先でかいた赤っ恥エピソードもあえてマンガとして公表するというのがステキです。読んでいて微笑ましくなりました。
読んでいて気持ちが軽く
『サザエさんうちあけ話』『サザエさん旅あるき』共にとても面白くて一気に読んでしまいました。
暗い内容のエピソードでも絵のチカラによって微笑ましく感じられたり、シンプルかつ親しみを感じるデフォルメされたキャラクター、愉快なエピソードから伝わる長谷川町子さんや周りの人達の朗らかな人柄などなど魅力が詰まった1冊でした。
マンガとは縁遠いジャンルの書籍で長谷川町子さんの作品が推されるのも納得です。機会を見つけてぜひ『サザエさん』など他の作品も読んでみたくなりました。