今年もまた一年の中で唯一といってもいいお楽しみ、『立川志の輔 独演会 in 甲府 2022』へ行ってきました。
今年も無事観に行くことができた独演会
“コロナ禍”という言葉ができてはや数年、ここに書くネタが尽きるレベルで外出を自粛する日々が続いております。
そんな中でもやはりこれだけは諦められまいと昨年に引き続き今年も『立川志の輔 独演会 in 甲府 2022』を観に行ってきました。
このために会場に足を運んで自分の席へ腰を下ろす時「あぁ、また一年が過ぎたのかぁ……」と感慨深い気持ちになります。 僕にとっては月日の経過を実感する貴重な機会です。
今年はまくらで「能登町(石川県)が設置した巨大なイカのモニュメントで経済効果6億円」の話題から能登町がイカモニュメント設置を決めた会議の様子を面白おかしく想像しつつ、人が集うと議論がおかしな方向に進んでも白熱して止まらないおかしみを描いた志の輔さんの創作落語『異議なし!』と、商家の二代目ながら遊びが過ぎて勘当されてしまった若旦那が親戚のもとで再起を目指して慣れない行商(唐茄子売り)を経験し、四苦八苦する中で出会う人々との出来事を描いた古典『唐茄子屋政談』が披露されました。
余談ですが、「唐茄子」ってカボチャの別の呼び名なんですね。この噺を聴いて初めて知りました。 そういえば、『唐茄子屋政談』の時には志の輔さんのお召し物がカボチャのように緑と橙の色合いで秋らしくてステキだったのを思い出しました。
落語から垣間見える人間のおかしみ
上で挙げた「能登町のイカモニュメント」について志の輔さんが話すのを聴いて、僕とは全く違う目線で物事を捉えてらっしゃるのだなと驚かされました。
僕も件のモニュメントについて知ってはいましたが「会議で一体どんな流れからイカという意見が出て、しかもそれで決定したのか」を想像するまでには至りません。
世を騒がせるニュースをただ表面的に追うだけでなく、そこから想像をふくらませて人間の持つ面白おかしさを見出してらっしゃるのがすごいです。
だからこそ、志の輔さんの落語に登場する人物たちの所作ひとつひとつはあんなにも観た人を魅了するんでしょうか。
何事にも意識と目を向けることって大事かも
志の輔さんの観察眼について僕の中で印象に残っているのが、ご自身がパーソナリティを務められているラジオ番組『志の輔&雷鳥の なんでか?ニッポン』のフリートーク中に新しい文化に関するワードが頻出することです。
流行りのSNSや話題の人物など、僕なら「そんなの知らない」で済ませてしまいそうな話題をあげてトークされています。 同じくパーソナリティのお笑いコンビ・雷鳥のお二人に「そういうのがあるんだろう?」と教えてもらう形ではあるものの、それもご自身でしっかりと情報のアンテナを張っているからこそできることですよね。
年齢を重ねても広く物事への興味関心を持ち、感性を研ぎ澄ませることを怠らない姿には強く憧れます。
まずは見聞きしたニュースの中から興味が持てそうなものをひとつ考えてみるところから始めてみようかな……。
◆ ラジオ『志の輔&雷鳥の なんでか?ニッポン』 – 北日本放送(KNB)公式サイト
今年も元気に当日を迎えられたことに胸をなでおろす
今年も志の輔さんはじめ独演会関係者の方々と僕を含む観賞者みんなが元気に会場に集まって楽しい時間を共有できたことがとても嬉しいです。
特にここ最近は山梨県内での新型コロナ感染者数も数百人を超える日が連続し、独演会当日を迎えるまでは開催中止にならないか心配していたので喜びもひとしおでした。
ここ最近はこの催しが僕の一年間における唯一のイベント事といっても過言ではありません。 世の自粛ムードも和らぎつつありますが、もっと気軽に出かけられる日常が早く戻ってほしいですね。
また来年を楽しみに
独演会の最後に志の輔さんが語られた「もともと寄席など小さな会場で少人数に対して披露されてきた落語が時代を経た今、こういった大きな会場でも観てもらえるようになった」旨の話を聴きながら、自分がこの場で落語を楽しませてもらえているありがたみを噛み締めました。
聴き終わって会場をあとにする時、年に一度のこの機会はあって当然ではなく本当にかけがえのないものだなぁと感慨にふけりながら毎年帰路につきます。
いつも「今年で何回目だったかしら」と考えては忘れてしまうのですが、翌日の新聞記事を確認したら16回目の山梨公演とのことで、毎年開催してくださっている志の輔さんをはじめ関係者の方々すべてに心から感謝しつつ……。
また来年も、さらにその先も楽しみが続いてくれるように願って日々の生活へと戻ります。