落語家の立川志の輔さんが全国を巡って披露されている落語の独演会が、今年も我が地元で開催されたので聴きに行ってきました。 2時間強、ひたすら笑わせてもらいました。
およそ2年ぶりに楽しませてもらった独演会
今まで、志の輔さんの落語独演会には毎年といっていいほど通い続けていたのですが、昨年はどうしてもチケットを入手することがかなわず、なんだか年中行事が突然なくなってしまったかのような喪失感を覚えた一年を過ごすことに……。
そして今年。 「同じ轍は踏まぬ」と反省し、イベント開催情報を目を皿のようにしてチェックし続けて無事にチケットを獲得。 およそ2年ぶりとなる独演会を心ゆくまで楽しませていただきました。
やっぱり「まくら」が好きかも
久しぶりに生で落語を聴いて感じたのが、やっぱり自分は「まくら」に大きな魅力を感じているということでした。 「まくら」というのは、メインの演目である「本題」が始まる前に話される部分をいい、本題に関連した小話やちょっとした世間話が展開されます。
ここで会場の笑いを誘って全体の空気(雰囲気)を温めつつ、いざ本題へ……となるわけですが、この”まくらから本題へ移る”瞬間がたまらないのです。
今この瞬間まで最近の出来事や時事ネタなどといった世間話をしていたと思ったら、すでに本題が始まっていて噺の世界へ引き込まれている……。 このあまりにも華麗なフェードインにいつもシビれてしまいます。
観客側が本題の始まりに気がついて、笑い声が響いていた会場全体がスッと静まり返って聞き入るあの空気を肌で感じられるのは生ならではだと思いました。
もちろん本題も大変素晴らしく、自分の知らなかった演目に触れることができて嬉しいです。
《余談》テレビでも落語を楽しんでいます
最近は「Eテレ」で放送されている『日本の話芸』という番組を観て落語を楽しんだりもしています。 過去に開催された落語会の様子を映した番組です。
時には落語家だけでなく講談師などが取り上げられることもあるようで、様々な噺家さんや演目を知る良い機会になっています。
《余談その2》落語入門をちょっと読んでみた
先日、図書館に用事があって足を運んだときに、少し時間があったので落語に関する書籍を手にとってみました。
その時に読んだ本『ゼロから分かる! 図解落語入門』がわかりやすくて面白かったのでメモしておきます。
落語の歴史や落語が披露される場である「寄席(よせ)」の成り立ち・寄席の楽しみ方(入場方法など)・落語に登場する用語・流派の紹介……といった「落語」をキーワードとした物・事に関する情報がイラスト付で掲載されていて勉強になりました。
腹の底から笑わせてもらって救われた気持ち
少し話は変わりまして……。
ここ数日のあいだ、あまりにも辛く悲しいニュースが世間を駆け巡っています。 ニュースを耳にして以来、上手く自分の気持ちを整理することができず、胸が押しつぶされてしまいそうな日々です。
そんな状況の中で足を運んだ今回の独演会ですが、志の輔さんの噺を聴いて笑わせてもらう時間だけは現実から意識を切り離して、“楽しい”・“面白い”といった明るい気持ちで心を満たすことができました。
比喩でなく「このままではどうにかなってしまいそうだ」という重く暗かった気持ちを少しでも軽くしてくれた志の輔さん、そして落語という芸能に感謝しかありません。 今回聴いた独演会は自分にとって単なる娯楽とは一線を画したものだったと感じています。
今後も悲しみの伴うニュースが耳に届くかもしれません。 僕に今できるのは、これから先で支援が必要となった時に力を尽くせるよう、気持ちを整え保ちながら待つことだと考えます。
毎年のように通って来た馴染みある落語の独演会ですが、今回は今まで体験してきた中でも特に印象に残る回となりました。