2021年3月に発売されたアニメ『響け!ユーフォニアム』シリーズ5周年を記念したドラマCD『響け!ユーフォニアム 5th Anniversary Disc ~きらめきパッセージ~』をようやく聴きました。
発売日にゲットしていたものの、多忙によりこんなタイミングに(汗)
未だ映像化されていない原作エピソード10作がドラマCDに
『響け!ユーフォニアム 5th Anniversary Disc ~きらめきパッセージ~』は、京都アニメーションのアニメ作品『響け!ユーフォニアム』のシリーズ5周年を記念して発売された2枚組のドラマCDです。
ドラマCDに収録されているのは、これまでに映像化されていないエピソードの中から選ばれた10作で、いずれも原作はシリーズの外伝となる短編集に掲載されています。
【収録エピソード】
★ 冬色ラプソディー
★ 星彩セレナーデ
◇ 少女漫画ごっこ
◇ 背伸び
● 未来を見つめて
● 飛び立つ君の背を見上げる(Fine)
● 上質な休日の過ごし方
● ツインテール推進計画
● 木綿のハンカチ
● 飛び立つ君の背を見上げる(D.C.)
各タイトル頭の記号は掲載されている原作小説を表しています。
[★] 北宇治高校の吹奏楽部日誌
[◇] 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話
[●] 北宇治高校吹奏楽部のホントの話
それぞれのエピソードがところどころアレンジも加えられた上でボイスドラマ化されているので、上記の原作小説と比べて味わうのも楽しいと思います。
ボイスドラマ化されていない掲載エピソードも本編では見られなかったキャラクターの一面が描かれていたりもするのでオススメです。
ドラマCDということでもちろん情報は音のみになるわけですが、それでも各キャラクターがどこにいて何をしているのかがちゃんとわかるのがすごいと思いました。
多人数での会話と一人の独白とでは声の聞こえ方(音像?)が全く違っていて、音の配置ひとつでこんなに変わるのかと衝撃を受けています。 ボイスドラマをあまり聴いた経験がないこともあって新鮮でした。
《余談》原作小説が品切れでも諦めるのは早い
原作小説を探すタイミングによっては品切れになってしまっていることもあるかと思います。
特にこの『ユーフォ』シリーズはアニメ化による人気のためか、しばらくのあいだ原作小説の品切れ状態が続いた時期がありました。
出版元では定期的に重版が行われているようなので、もし品切れでも少し待っていれば在庫が復活してゲットできるチャンスが巡ってくるはずです。 無理してプレミア価格がついたものに手を出すのは避けたほうが吉かもしれません。
最近ではようやく電子書籍化も行われたので、紙派・電子派のこだわりがなければ在庫状況を気にせず手にとれるようになりました。
《余談の余談》僕も手に入れるのに苦労した思い出
上でも挙げた「吹奏楽部日誌」や別の高校が舞台のスピンオフ『立華高校マーチングバンドへようこそ(前・後編)』が当時は品切れで、とにかく見つからず……。 まだ電子書籍化もされていなかった時期のことです。
たしか「吹奏楽部日誌」は、神奈川で行われた『ユーフォ』の演奏会イベント(定期演奏会)への道中に立ち寄った書店でなんとか手に入れました。
「立華高校編」は地元の書店にはどこも残っておらず、たまたま検索した「TSUTAYA(ツタヤ)」の店舗在庫で1件だけヒット! 誰かに先を越されないかドキドキしながらお店へ飛んで行った記憶があります。 TSUTAYA、けっこう穴場な気がします……!
どちらも店頭で手に取った瞬間の喜びは忘れられません。 苦労した分、思い出として深く刻み込まれているのでしょうか。 だとすれば、入手困難も悪いことばかりではないかも?
……いやいや、やっぱり欲しいものは欲しいと思ったそのタイミングで手に入るというのが一番イイっす。
ドラマCD以外も見どころたっぷり
今回の5周年ドラマCDには初回特典として下記のような同梱物があります。
- 収録台本
- 40Pスペシャルブックレット
- 吉川優子の手紙
まずは「収録台本」ですが、その名の通り今回のドラマCDに収録されているエピソードのセリフ・ト書きが掲載されています。
ドラマ内とは少し異なる表現になっている部分も見つかったりして、収録の際に変更が加えられたのかなぁなんて思いを馳せつつ聴いてみたり。 楽しいです。
次に「スペシャルブックレット」。 こちらもなかなか豪華な内容でした。
まずドラマCDの各エピソードのあらすじとエピソードを象徴する一枚絵が掲載されています。 原作・ボイスドラマともに視覚情報がなかったところに、場面描写の想像を一気に拡げてくれました。
他には、今回のボイスドラマに登場するキャラクターの紹介と担当された声優さんたちのコメントや原作小説の表紙イラストを担当されたアサダニッキ先生のイラストコメント、原作者・武田綾乃先生による書き下ろしショートストーリー、スペシャル座談会などが載っています。
武田綾乃先生の書き下ろしショートストーリーは、近い時期に発売されたスピンオフ小説『飛び立つ君の背を見上げる』に登場するエピソードとも関連する内容でニヤリとしました。
スペシャル座談会は今回のボイスドラマの収録を振り返るという内容で、黒沢ともよさん(黄前久美子役)・石原立也さん(監督)・鶴岡陽太さん(音響監督)が鼎談されています。
この時勢における以前とは変わった収録形態への感想や、5年という年月を経て感じた『ユーフォ』シリーズとの向き合い方……など、読み応えある内容です。
最後にはアニメ新作の制作も進行中だと触れられていて、アニメも最終楽章へ向けて着々と進みつつあることを知ることができました。
そして、「吉川優子の手紙」。 これはエピソード「飛び立つ君の背を見上げる」の中に登場するもので、その名の通り優子が書きあげて、とある人物に手渡した手紙です。
封筒の中に数枚の便箋が収められており、その内容も原作に忠実なメッセージが綴られています。 読みすすめるうちに受け取った人物の気持ちを追体験できる(?)ファンアイテムとなっていました。
スピンオフ『飛び立つ君の背を見上げる』もイイ
なかなか記事作成の時間が取れず触れられていないかったのですが、上で紹介したスピンオフ小説『飛び立つ君の背を見上げる』もとても面白かったです。
主人公・黄前久美子の良き先輩である中川夏紀の視点で綴られた物語で、時系列としては本編『決意の最終楽章(前・後編)』より少し前、夏紀たちが部活を引退し北宇治高校を卒業するまでの出来事となっています。
夏紀からみた傘木希美・鎧塚みぞれ・吉川優子、それぞれの人物像が過去のエピソードも絡めながら語られており、その語り口から夏紀の人物像までもが微細に描かれている作品でした。
夏紀という一人の人物の心情にグッとフォーカスが当てられているので、他の原作小説と比べるとまた違った読み心地があります。 アニメ版や小説本編では見られなかった一面に触れた気がします。
また、本の題名でもお分かりのとおり、今回のドラマCDに収録されている(短編集に掲載されている)「飛び立つ君の背を見上げる(Fine / D.C.)」と呼応する作品でもあるので、こちらも読めばより楽しめること間違いなしです。
ちなみに、紙版には初回限定で書き下ろしショートストーリーが載っている小冊子が付いています。 夏紀と希美のやりとりがメインで、『飛び立つ〜』に登場するとあるエピソードの別場面を描いた短編でした。
シリーズ5周年という感慨
「シリーズ5周年」という言葉から、最初にTVアニメ第1期を観た時のことを思い出したりして、時の流れにしみじみとしちゃいます。
ボイスドラマを聴いたあと久しぶりに原作小説を読み返したりもして、楽しい時間を過ごすことができました。
こうやって作品に触れるたび思うのは、やっぱり『響け!ユーフォニアム』は良い作品だなぁということ、そして、やっぱり『響け!ユーフォニアム』が好きだなぁということです。
新作の制作も進んでいるとのことで、一ファンとしては楽しみで胸いっぱい、「どれだけだってお待ちしますよ!」と思うばかりです。
う〜ん、またブルーレイを引っ張り出して観直したくなってきた。