少し前にゲーム『FLOWERS 四季』をプレイし、自分の中で作品熱を高めながら待ちわびた新作ドラマCD『ストレリチアの花言葉』を聴きました。
ゲーム本編のその後を描いた新作ドラマCD
『FLOWERS サウンドドラマCD〜ストレリチアの花言葉〜』は、ADVゲーム『FLOWERS』シリーズ本編のその後を描いた作品で、市販のドラマCDとしては2018年発売の『スノウホワイト』につづく第2作目です。
『ストレリチアの花言葉』では、舞台となる聖アングレカム学院の2年生に進級した主人公たちが過ごす新たな日々が描かれます。 2年目の学院でゲーム本編からさらに進展したキャラクター同士のやりとりや、劇中劇として演じられる『ラプンツェル』の物語を楽しむことができます。
さらに、今作ではキャラクターの声を演じた声優さんによるコメンタリーも収録されているところも大きなポイントです。
登場するキャラクターも、参加されている声優さんも、ほぼフルメンバーという豪華で聴きどころ満載な一枚でした。
作品世界の拡がりに喜び、癒される
『ストレリチアの花言葉」によって、ゲームでは語られることのなかった2年目の学院で紡がれる新たな物語に触れることができてすごく嬉しいです。 今回はメインキャラクターがほぼ勢揃いですし……!
ゲーム本編から月日を経て関係性に変化が現れたキャラクターたちによる掛け合いや、それぞれの夢・進むべき道、そして2年目という環境によって見えてくる聖アングレカム学院の新たな一面など、「その後」の物語を存分に味わえる構成になっていて、時間を忘れて聴き入りました。
ゲーム本編のその後を描いた物語は『ストレリチアの花言葉』に限らず、これまでにも文字・音声問わず様々な媒体で展開されています。
そこで描かれる新しい物語にふれるたび、「あぁ、元気に過ごしているんだなぁ」なんて旧友を懐かしむような気持ちになりながら、『FLOWERS』の作品世界が少しずつ拡がっていくことの喜びに胸がいっぱいです。
いや、ホント、こうやって好きな作品が新たな展開をみせてくれることの、なんて幸せなことか。 改めて、制作者の皆さまに感謝……!
それに今回は、今もなお世の中で混乱が続いているようななかで、この作品に触れられたことが自分にとっての救いになってくれたように感じます。 少なからず荒んでいた気持ちを、たしかに癒してくれました。
細かなところにも聴き応えあり
サウンドドラマの中では時おり、メインで話しているキャラクターのうしろに他のキャラクター同士の会話が聞こえてくる場面が登場します。
そのうしろの方でかすかに聞こえる会話に耳をすましてみると、決して適当な内容ではなくキャラクターの掛け合いとしてしっかりと聴き応えあるものになっていました。 2週、3週と聴き返す時のお楽しみポイントのひとつですね。
そのほか、これまでに描かれてきた特典CDなどでの物語もしっかり反映されているのがよかったです。
とはいえ他のサウンドドラマを聴いていないと物語についていけないということは決してなく、知っているとより楽しめるような良い塩梅でキャラクターの会話などにキーワードとして散りばめられていました。
ボリュームたっぷりの劇中劇も楽しい
『スノウホワイト』に引き続き、今作もCD1枚まるごととボリュームたっぷりな劇中劇を楽しむことができます。 『ストレリチアの花言葉』では「ラプンツェル」の物語が語られます。
ゲーム本編にも「ラプンツェル」をはじめ様々な童話が登場するわけですが、僕は絵本としてアレンジされた物語にしか触れたことがないので、いつかグリム童話に収録された物語にも触れてみたいです。
全集としてまとめられ文庫化されたものが出ているみたいですね。 読んでみたいっす。
(……まずは貯まりに貯まった積ん読の塔を崩すところから始めねば)
「花語り(コメンタリー)」が素晴らしかった
今作にはサウンドドラマ・劇中劇のほかに、キャラクターの声を演じられた声優さんたちによるコメンタリーが収録されています。
今作の感想やキャラクターへの想いなど、思い思いのコメントを聴くことができるというのはサウンドドラマとはまた違った感慨があり、こういった作品の舞台裏を知ることが好きな僕にとっては嬉しい内容でした。
皆さんの言葉からは作品への愛情がたしかに感じられて、聴いているこちらまで胸の中が温かくなります。
たしかこういったコメンタリー音声はゲーム本編のPC版にも収録されていてクリア後に聴くことができるらしいのですが、残念ながら僕の遊んだPSP・PSVita版(春〜冬)及び『四季』ではカットされてしまったようでして……。 この「花語り」のおかげで声優さんが作品について語るのを初めて聴くことができました。
余談ですが、この「花語り」のディスクだけサウンドドラマ・劇中劇とはディスクケースが分けられており、それが現実と作品との境界を区切っているように見えました。 ただ単にサウンドドラマのネタバレ防止のために分けただけかもしれないですけども……。 僕には作品の世界観に対するこだわりとして感じられました。
『FLOWERS』の世界がさらに拡がってくれますように
『ストレリチアの花言葉』で描かれたサウンドドラマの物語や「花語り」での声優さんのコメントから、『FLOWERS』という作品が一つの区切りを迎えたことが感じられました。
そこにはもちろん一抹の寂しさもありますが、『FLOWERS』の作品世界にはまだまだ拡がりをみせてくれる余地があると信じています。
声優さんたちも語られていたようにまた再会できる未来を願い、これからもいちファンとして『FLOWERS』を楽しませていただきます……!