先日まで東京で開催されていた展覧会『特撮のDNA−ウルトラマンGenealogy−』の公式図録を通販でお取り寄せしました。 それと、会場の様子を楽しめるVRのチケットも購入してディスプレイ越しにではありますが展覧会を楽しませていただきました。
現代まで受け継がれる円谷特撮の系譜(Genealogy)を辿る展覧会
今もなお新たなヒーローが生み出されている『ウルトラマン』シリーズの系譜(Genealogy)を辿る展覧会『特撮のDNA−ウルトラマンGenealogy−』が、2020年9月から10月にかけて東京にて開催されました。
僕もぜひ観に行きたかったのですが、遠出をするのもなかなか憚られる状況であったため残念ながらガマンという結果に……。
今回の展覧会では『ウルトラ』の歴史を総括しつつ、その中から昭和〜平成初期の作品群がフィーチャーされ、『ウルトラマン』〜『ウルトラマン80』・『ウルトラマンティガ』〜『ウルトラマンマックス』・『ウルトラマンG(グレート)』・『ウルトラマンパワード』といった作品の撮影で使われたプロップ(衣装や小道具・模型)が展示されていたようです。
さらに、展示品は『ウルトラ』シリーズだけにとどまらず、円谷プロに名を残す数々の特撮作品のものも目にすることができたのだとか。 個人的には展示されていたという『電光超人グリッドマン』関連の物品をこの目で観てみたかった……!
『特撮のDNA−ウルトラマンGenealogy−』は東京での会期は終了しましたが、2020年12月に大阪でも開催されることが決定したとのことです。
そんな円谷特撮の系譜(Genealogy)が凝縮された公式図録
残念ながら僕は会場へ足を運ぶことは叶わなかったものの、せめてこれだけでもと思って手に入れたのが展覧会限定のグッズ『公式図録』です。
展覧会グッズの通販が決定されたとの発表を目にしてから販売開始日を待ちわびていました。
届いてまず驚いたのがそのサイズです。 大きい判型、そして厚み! 手に取っただけで読み応えたっぷりであることは十分に伝わってきました。
内容もその期待を裏切らない写真の数と文章量で、すべて読み終えるまでにはなかなかの時間を要しました。
掲載内容は会場で展示されていた物品の写真と各作品の紹介がメインとなっています。 プロップはもちろんのこと、会場内に飾られた当時の番組予告ポスターや撮影当時の写真も一部を除き収録されていました。 VR(後述)にて会場の様子を観賞しましたが、ほとんどの展示品は図録で網羅されていた印象です。
「各作品の紹介」というのもなかなか熱量が高い文章で構成されており、作品が放送された当時の時代背景に触れながら解説されており、それぞれに影響を与えた事柄・作品や撮影時のちょっとしたエピソードなども知ることができて読み応えがありました。
特撮に関する“歴史の教科書”としても有用だと思う
この図録のすごいところは、展示されている作品のみならず『ウルトラ』シリーズの合間に制作されてきた作品もしっかりと紹介されているところです。
ヒーローもの以外のドラマ作品(恥ずかしながら初めて題名を耳にするようなもの)も掲載されていて、円谷プロが積み上げてきた歴史の厚みを知ることができました。
単なる展覧会の図録ではなく、これは円谷特撮の歴史の教科書としても楽しめる読み物になっていると思います。
僕はこの公式図録はマストバイだと強く推したいです。 ちなみに、『特撮のDNA』公式Webサイトでは図録の一部を公開中とのこと ↓
◆ 「特撮のDNA-ウルトラマンGenealogy」公式図録を一部公開! – 「特撮のDNA」 公式サイト
この記事を書いている時点では『特撮のDNA』の公式Webサイトにて販売中ですが、おそらく期間限定だと思いますので気になる人はお早めに……!
◆ ストアページ – 「特撮のDNA」 公式サイト
VRチケットで画面越しに会場の雰囲気を堪能
先日、『特撮のDNA−ウルトラマンGenealogy−』東京会場をVR(仮想現実)で楽しむことができるチケットが販売されたので、せめて会場の雰囲気だけでも味わいたいと思い購入してみました。
VR(仮想現実)によって、画面に映った会場内の様子を自分の視点で見ながら楽しむことができるもので、例えるなら「Googleストリートビュー」のような感じで会場内を見て周ることができました。
会場内のガラスケースに並べられたプロップや、会場中央で円になるようにズラリと並んだ歴代ウルトラマンのスーツなどを画面越しながら目にすることができて嬉しかったです。 「こんな感じで展示されていたのかッ!」と鼻息荒く画面を食い入るように眺めてしまいました。
会場内で流れる映像やスーツの音響演出も動画で楽しめた
VRでありがたかったのが、展示品だけでなく会場内で流れていたと思われる作品紹介用の映像や、BGMと連動した照明によって会場中央に並んだウルトラマンのスーツたちがライトアップされるパフォーマンス演出の様子まで動画ファイルで楽しむことができたことです。
特にスーツの照明演出は複数のカットで映像が用意されていて、VR上でお目当てのヒーローの前まで行って再生すると、ちゃんとそのヒーローの前に立った状態での映像が流れるという芸コマっぷりがお見事でした。
VR特典のコメンタリーで豆知識も楽しめた
VRでの特典として、一部の展示品には円谷プロ所属の造形家・品田冬樹さんによるオーディオコメンタリー(映像)も観ることができます。
一つの映像時間は数十秒ほど、かつ、全ての展示品にコメンタリーが付いているわけではないため総量としてはそこまで多くはありませんが、作品制作に携わってこられた方から展示品の解説を聴くことできるというのは贅沢な体験でした。
関係者だからこそ語られるような展示品の「材質」や「経年劣化」などに関するコメントが個人的に興味深かったです。
VRはあくまで会場の雰囲気を知るためのものという印象
VRで会場の様子・雰囲気を堪能できてとても嬉しかったです。 ただ、展示品を近くに寄って観賞するといったことができないのはVRの仕様上、残念ながら致し方なし……といったところでしょうか。
上で例として挙げた「Googleストリートビュー」のようにあらかじめ決められた線上を移動していくような仕様になっています。
そのため、自由な位置・角度から展示品を眺めるということができません。 こればかりは実際に会場を訪れた人の特権ですね。
あくまでVRは会場内の様子を楽しむものと割り切った方がいいかなぁという印象でした。 展示品については図録によって大きめな写真で味わえるのでそちらで……という感じ。
とはいえ、会場に行けなかった人やもう一度楽しみたい人のためにこういった企画を立ててくださったことに心からの感謝を。 本当にありがとうございます!
展示品のサイズ感を知ることができたのは嬉しい収穫
展示品を好きな角度から堪能したいという目的にはちょっぴり気になる点もあるVRですが、僕が一番ありがたいと思ったのは「展示品のサイズ感がわかる」ことでした。
それぞれの物品の大きさを図録の写真から想像するというのはどうしても難しいです。(寸法が付記されているとはいえ)
それがこのVRによって明らかになったというのは、当初想定していなかったVR観賞による大きな収穫でした。
《余談》 VRゴーグルが無くても観賞できました
VRということで専用のゴーグルが必要と思いがちですが、そういった機器がなくても観賞することは可能です。 僕はiPhoneやiPadの画面で楽しみました。
ちなみにゴーグルを利用すると自分の頭の動きと視点が連動するので“会場内に自分が居る”ような感覚が増して面白いです。 ……が、僕はメチャクチャ酔ったので、すぐゴーグル無しに変えました。
僕が持っているのはスマホ用の安価なゴーグルなのですが、それでもちゃんと“それっぽい”感覚を味わうことができました。
三半規管がダメダメなので、こういった一人称視点のコンテンツ(FPSゲームとか)を長時間楽しめないのが悩みのタネ。
特撮の系譜が末長く受け継がれていきますように
今回は図録とVRで特撮の展覧会を楽しませてもらいましたが、やっぱりイイものですね。 いくつになろうとも胸がアツくなります。
これからも末長く特撮という文化が後世へと受け継がれていってほしい、そんな思いを改めて強く感じさせてくれる内容でした。
そういえば、こういったプロップなどを保存・管理するための機構も発足されているんですよね。 寄付も募っているようなので、僕も余裕がある時には協力したいなぁと思っております。
◆ ATAC(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構) – 公式サイト