
ゲーム『FLOWERS』のオーケストラコンサートから早くも半年以上が経ち、昨年末にはオケコンのCD・楽譜が発売になりましたね。 じっくり味わっていたらもう1ヶ月経つという。
コンサートで演奏された楽曲が収録されたCD&フルスコア
Innocent Greyのゲーム作品『FLOWERS』の楽曲がオーケストラアレンジされたCDと楽譜集が2025年末に発売されました。
シリーズ10周年を記念して2025年4月に開催された『FLOWERSオーケストラコンサート「Mémoire éternelle」』にて演奏された楽曲がCD2枚組で収録されています。 ※ 別日に録音を行った音源とのこと
また、同時発売となった楽譜集はCDと同内容の楽曲のスコアが全て掲載された300ページを超える大ボリュームな一冊です。
じっくり聴き入ることで蘇る感動
当日のコンサート会場では静かな興奮状態であったために聴き終える頃には夢か現か、「とにかく最高だった!!」という感情だけで胸がいっぱいでした。
そんなわけでじっくりと何度でも聴き返せるCDの発売がずっと待ち遠しかったです。
荘厳なホールに響く始まりの「トータプルクラ」。 イントロが聴こえた瞬間に身体が震えた「FLOWERS」。 季節の楽曲で四季を巡って、「FLOWERS trio ver.」で改めてエンディングを迎えたような心地に至る……。 あの日の情景が音楽とともにまぶたの裏に蘇ります。
お気に入りの曲「虹の魔法」で七色に輝いていた舞台の様子も忘れられません。 とにかく最高だ!!
[CD] 収録内容は楽曲のみ
オーケストラコンサートでは演奏とともに声優さんによる朗読も行われましたが、そちらはCDには収録されておらず楽曲のみとなっています。
以前開催されたプレミアムアコースティックライブのCDにも朗読パートは収録されていなかったので、会場での一期一会な体験に重きをおかれているのかも……?
場内アナウンス(影ナレ)も含めてもう一度聴きたいという思いと「あの場限りの儚さが素晴らしいじゃないか」という思いで心がふたつありますが、今はCDを聴きながら記憶を頼りに当時の思い出に浸ろうと思います。
[CD] ブックレットには解説と歌詞集が掲載
CDに付属するブックレットには今回のコンサートで編曲・指揮を担当された岩垂徳行さんとシリーズ総監督・スギナミキさんによる各楽曲の解説コメントと歌唱曲の歌詞が掲載されています。
コンサートでの演目として選曲・編曲するにあたり意識されたことや苦労なさった点など、お二人それぞれの視点から楽曲ごとに語られていて舞台のウラ側を見せてもらうような気持ちで読みました。 大好きです、こういうの。
歌詞集はシリーズのイラストと一緒に掲載されていたり触り心地のいい紙質なのと相まって、まるで小さな詩集に触れているかのようでした。
ハイレゾ音源のDL版も販売中
オケコンの楽曲はCDよりも高音質なハイレゾ音源のダウンロード販売も行われています。 「mora」や「レコチョク」などハイレゾ音源も取り扱っている音楽サイトで購入できるようです。
◆ FLOWERS Symphonic Orchestra Sound「Mémoire éternelle」 – ハイレゾ音源販売サイト一覧
CDで楽曲を聴いてみてハイレゾの高音質にも興味が湧いてきちゃいました。
ちなみにハイレゾ音源は対応している再生機器でないと聴けないのでよくご確認を。 最近のスマホならほぼ対応しているのかな?
[楽譜] 五線譜で作品の四季を巡る
今回のコンサートでは『FLOWERS』シリーズ四篇、春夏秋冬の移り変わりが感じられるような構成になっていました。
楽譜集も同様の曲順でスコアが掲載されているのに加えて、各季節の区切りにはゲーム内でも挿入されたモノローグの文章が掲載されています。
季節を追う構成とモノローグの存在によって音楽に関して門外漢な僕でも物語性を感じられる楽譜集になっていると思いました。
[楽譜] 岩垂さんが編曲したスコアを読める機会は貴重では
編曲を担当された岩垂徳行さんといえば、ゲームが趣味なら誰でもそのお名前を一度は目にしたことがあるんじゃないかというくらい幅広く活躍されている音楽家です。
そんな岩垂さんがアレンジした楽曲のスコアが一冊の形になって読める機会というのはそう無いんじゃないでしょうか。
そもそもゲーム音楽の楽譜が発売されること自体が珍しい中でオーケストラのフルスコアだなんて……もしかしなくても奇跡では!?
音楽をやっている人にとっては岩垂さんの編曲のヒミツに迫れる垂涎の内容だったりするんですかね。 原曲を作られたMANYOさんの創作のヒミツにも少なからず通じていたりして……?
あぁ、自分に音楽の知識があったならきっと隅々まで楽しめたのにッ!
と、思ったので——
《余談》 スコア・リーディングの入門書を読む
これを好機とせずして何とするッ! オーケストラの楽譜を楽しく読むための入門書『オーケストラの読みかた スコア・リーディング入門』を読んでみることに。
ちゃんと楽譜を読めるようになるには楽典の知識など多くを学ぶ必要に迫られることは想像に難くありません。 それだとオケコンCDを聴くためには時間が足りない。 もっと浅瀬でチャプチャプ楽しめるオーケストラ入門はないものか……と探してみたら、あるんですね。
スコアに書かれた記号の意味やオーケストラで使われている各楽器の特徴、舞台上での並び方といったかなり初歩的なところからわかりやすく解説してくれていて、「スコアのこんなところに注目すると楽しく聴けるよ」と音楽の鑑賞力を一段底上げしてくれるような一冊です。
僕のようにドレミすら曖昧といった状態でも最後まで面白く読み通すことができました。 というか、これオケコンを聴きに行く前に読みたかったかも!
惜しむらくは改訂版も含めて絶版状態になってしまっていることでしょうか。 電子版もないのがもったいない……。
[楽譜] 楽譜とともに演奏を聴くことの楽しさを知る
総譜の読み方について入り口に立った上で楽譜をめくりながらオケコンCDを聴いてみると景色が一気に変わるのを感じました。
耳だけでは捉えられていなかった楽器同士の掛け合いが見えることで「ここであの楽器が鳴っていたのか!」とグッと奥行きが拡がるような感覚です。 これは僕のリスニング力の未熟さゆえとも思いますが、続けていくことで聴き取れるようになっていくでしょうか。 ちょっと楽しみ。
この作品のおかげでまたひとつ自分の知見を深める良いきっかけをもらえました。
《余談その2》 岩垂さんも名を連ねるインタビュー集を読む
『FLOWERS』の話から逸れますが、岩垂さん繋がりの話題を少し。 同じく昨年末に発売された書籍『ゲーム音楽で世界を拡げる人たち 名曲の生まれた舞台裏』を読み進めています。
今では「レトロゲーム」と呼ばれるようになった往年の作品のBGMを手掛けた作曲家22名へのインタビューが掲載された一冊。 80〜90年代のゲーム音楽という地平を切り開いてきたまさしくレジェンドな方々の貴重なお話がたっぷりです。
そのうちの一人として岩垂さんが業界に入った経緯や担当作品の思い出などを語っています。 インタビューの最後にはこれまでに携わってこられた作品の一覧も載っていて、その数の多さ・ジャンルの幅広さに圧倒されました。
記憶を導くブックマークのような存在として
人間の記憶は「匂い(嗅覚)」と深く結びついている――なんてウワサがありますが、僕の経験では音楽を耳にした時が最も記憶のフタが開きやすいです。
例えば人生の岐路に立った時に聴いていた楽曲を耳にするとハッキリと当時の情景や感情が頭の中で再生されます。
今回のオケコンCDを聴いた時も会場で座席に座って感じた空気感まで蘇るような記憶の補完がありました。 音楽のパワーってスゴいっす。
ひとたび触れれば思い出に浸れる記憶のブックマークのように末永く楽しませてもらおうと思います。 本当に素晴らしいコンサートでした。
外部リンク
◆ FLOWERS Symphonic Orchestra Sound – 公式特設サイト















