* このページではアフィリエイト広告を利用しています

趣味

憧れに焦がれて咲く火花。『グロリオサの花言葉 FLOWERS オリジナルサウンドドラマ』

先日発売されたドラマCD『FLOWERSオリジナルサウンドドラマ グロリオサの花言葉』を聴きました。 およそ1年おきに訪れる楽しみのひとつ、今回も堪能させていただきました。

※ この記事ではできる限りネタバレを避けておりますが、今作の内容・登場人物等に触れている部分もありますのでご注意ください。

サウンドドラマ「花言葉」シリーズの第4弾にして最終章

FLOWERSオリジナルサウンドドラマ グロリオサの花言葉』は、ゲーム『FLOWERS』本編のその後を描く“花言葉”をタイトルに冠したドラマCDシリーズの第4弾です。 「花言葉」シリーズ最終章でもあるのだとか。

第1弾(ストレリチアの花言葉)・第2弾(オクサリスの花言葉)・第3弾(アベリアの花言葉)はそれぞれ独立したエピソードが描かれているため、ゲーム本編に触れていればどれから聴いても問題なく楽しめる内容です。

今作と直接的な繋がりはないものの、本編より過去を描いたドラマCD『スノウホワイト』のエピソードもちょっぴり登場していました。(僕の勘違いでなければ)

「花言葉」シリーズもこれで4作目、『スノウホワイト』も含めて5作品ものサウンドドラマが連なるといよいよ一大作品な感がありますね。 本編も含めてそれぞれの作品の要素が少しずつ響き合っているところが好きです。

栄光を求めて競い、新たな絆へと至る物語

今作では最上級生となった花菱立花考崎千鳥の交流とバレエ発表会の主役の座をかけたオーディションを通じて生じる波乱や葛藤、それを乗り越えた先でより深い絆が結ばれる様子がメインに描かれています。

バレエの技術や始めた動機など近いものを持つ二人がひとつの栄光のために競い合う中で今まで気付くことのなかった自己と向き合い、持てる力の全てを出し切った先でより高みへと導いてくれた相手をライバルと認め合う様子はこれまでの『FLOWERS』で描かれてきた友情とは少し毛色が異なります。

「大切な友人だけれど譲れないものがある」という矜持がぶつかり合う様は喧嘩や対立にはない清々しさがありますし、憧れだけでは片付けられない黒い感情までまるごと昇華して互いに隣り合う者として立つ二人の姿には尊いものを感じました。

追うのでも追われるのでもなく、単なる友人でもアミティエでもない、共に肩を並べるライバルという手にしがたい絆の形が描き出されます。

再び巡る夏の日々、本編からの変化

今回、僕はドラマCD → ゲーム本編(夏編) → ドラマCD……と何度も聖アングレカムの夏を行き来しました。

立花さんと千鳥さんの交流のほかに収穫祭や湖畔での水遊びなど本編(夏編)でも経験したイベントが描かれているので、夏編との関連を感じさせられるとともに年月を経たことによる人間模様の変化を楽しめました。

今作の大きな特徴でもある、夏編を経て甘々(?)になっていた千鳥さんが今作で再び凛とした空気を纏うことについても、そこに含まれるものが夏編での空気感とはまた少し違ったものだと比較できます。

ちょっとした単語にも夏編とドラマCDそれぞれの繋がりを感じさせるものがそこかしこに散りばめられているので両方触れるとより味わい深いですね。

《余談》 夏編グッとくるシーン

夏編を再プレイして見た“目薬の場面”がやっぱりメチャクチャ好きです。 「パチパチしてみろ。……手じゃない、目をだ。」のところ。 CGがなくてもハッキリ情景が脳裏に浮かんできます。 何度見ても面白いしかわいらしい。

新キャラ・鶴見マキアさん

新たに声が付いたキャラクターとしてクラスメイトの鶴見マキアさんが登場しました。 ドラマCDで語られた見た目の特徴から夏編の場面CG(レッスン室)にいた一人ではないかと思うのですが、どうなんだろう。 すでに公式からビジュアルが発表されていたらチェック不足で申し訳ないのですが……。

バレエや朗読を通して千鳥さんとの交流を深めるマキアさん。 そんな二人にえりか先生がやきもきする姿が微笑ましかったので今後の関係性が気になる存在です。

石塚教諭の怪談も楽しめるぞ

今作でもとあることをきっかけに怪談大会が催され、そこで石塚教諭の過去が少し明らかになりました。 以前登場したときからすでに只者ではない雰囲気がありましたが、今作でそれがより極まった気がします。

今の姿からは想像しがたいなかなかパワフルな過去(運転まで……!?)によってキャラクター性にかなり奥行きが出た人物だと言えるでしょう。 これでも数ある経験のうちの一部だそうですし。 なんだか怪異と絡めたスピンオフ作品とかで主役を張っていそうなくらい輪郭の強さがありますね。

石塚教諭の口から語られる怪談もしっかり怖いです。 暗い部屋でイヤホンをして目を閉じながら聴いていたこともありゾワゾワしっぱなしでした。

2年目以降のハツラツとしたマユリさん

 
 
イイよね……。 ダブルもろこし……。
 
 

オンディーヌの「口づけ」とエピローグによってふくらむ想像

今作で立花さんと千鳥さんが主役の座をかけて競う演目「オンディーヌ」の物語について少し調べてみたところ、水の精オンディーヌ(ウンディーネの別名なんですね)による「口づけ」が重要な要素として登場することを知りました。

エピローグでの千鳥さんのアレは二人の間でちゃんと脅し文句として機能していたんですね。

……というのはあくまで想像でしかないのですが、それをふくらませる余地が与えられているのも楽しみのひとつだなと思います。

「花言葉」シリーズにみる成長の形

蘇芳さんが“友だち作りのスペシャリスト”と評されるまでになっていたり、おちゃらけ全開な沙沙貴姉妹も実はしっかりと人間を見ていたり、えりか先生はクラスメイトとも別け隔てなく接していたり、皆それぞれに年月を重ねた分だけ変化が表れています。

加えて「花言葉」シリーズでは物語を通して、学院での数々の出会いをきっかけに自己を見つめなおすことでこれから進むべき未来を見定める様子、庇護のもとにあった少女が一人の大人へと成長していく様がしっかり描かれていると感じました。 そこにはいずれ来る卒業という避けられない別れに対する寂しさも色を添えているように思います。

それぞれが卒業までの限られた時間を意識し、かけがえのない今を精一杯に謳歌する姿は眩しく・儚く映りました。

シリーズを追うごとに前へ前へと進んでいく作品内時間に永遠はないことを痛感させられます。 苦しい……!

それでも永遠に続いてください、マジで

 
 
『FLOWERS』の世界をな、『FLOWERS』の世界をな、もっと見ていたいんじゃよ。
 
 

10年という厚み

シリーズ10周年なのだそうで、おめでとうございます……!

10年続くコンテンツって決して当たり前じゃないと思うので本当にすごいです。 しかも新しい物語を紡ぎ続けての10年ですもんね。 こちらからは「ありがとう」以外に言葉が見つかりません。

ぜひリアル「FLOWERS 20」を目指していただいて、さらにその先までずっと応援させてもらえるよう願っています。

ドラマCDって面白い

アニメやゲーム作品ではわりと当たり前な「ドラマCD」の存在。 僕は『FLOWERS』に出会うまであまり馴染みがなかったのですが、これだけ作品数も重なってくると音だけで描かれる作品世界の妙がわかってきました。

本編での体験で得た情報と聞こえてくる音を頼りに登場人物の表情や所作、ロケーションを脳裏に思い描く……それは小説や映画では味わえない面白さ。 同じ作品だけど聴く人ごとに見える情景が違うのかと思うと興味深いです。

少し時間を置いてから改めて作品に触れることで新たに見えてくるものもあるかもしれません。 本編をまた遊んだりして何度でも堪能させてもらおうと思います。

《余談》 バレエについて知りたくて本を読んでみた

『FLOWERS』ではバレエに関する用語がいろいろと登場します。 それをきっかけにバレエについて知りたくなったので歴史について解説されている本を読んでみました。 『ビジュアル版バレエ・ヒストリー バレエ誕生からバレエ・リュスまで』という本です。

歴史上はじめて「バレエ」という言葉が使われた踊りの誕生から現代のバレエに至るまでの歴史が解説されています。 写真資料も豊富で用語や人物名の補足解説も充実していて読みやすかったです。 ピカソが舞台美術に関わっていた歴史や古典絵画に描かれたバレリーナの時代背景、衣装デザインの変遷など美術面の歴史とも交わる解説で興味深かったです。

ただ、『FLOWERS』に登場するバレエ用語は技術・技巧面に関するものが多く、この本はあくまで歴史書なのでそちらにまつわる解説はほとんどありませんでした。 内容はすごく面白かったので読んでよかったですけども。

技巧的な情報は本よりも動きまでよくわかる動画で調べた方がいいのかもしれません。 バレエ教室が直々に動画を出していたりもするようです。 ありがたい時代だなぁ。

《余談》 花についても知りたくて

『FLOWERS』きっかけで知りたくなったものがもうひとつ、「花」についてでして。 花の図鑑を買って読んだりもしているのですが、最近チャンネルをザッピングしていて出会ったテレビ番組にもハマっています。

それがEテレの『趣味の園芸 京も一日陽だまり屋』という番組。 京都の園芸店「陽だまり屋」を舞台に代理店長の翔太と妖精コノハがお店を訪れるお客さんの悩みに沿った花を選んであげるお話です。

1話5分の手軽さながら、テーマとなった花の特徴や育て方がちゃんと解説されていて勉強になります。 紙人形によるキャラクター同士の掛け合いも茶目っ気たっぷりで面白い!

趣味の園芸 京も一日陽だまり屋 – 番組公式サイト

外部リンク

FLOWERSサウンドドラマCD 『グロリオサの花言葉』 – ドラマCD公式サイト

NintendoSwitch 『FLOWERS 四季』 – ゲーム公式サイト

趣味

この記事をシェアする

六味

アニメゲームが大好き。最近は美術館へ足を運ぶことにもハマっています。このブログでは触れた作品や訪れた場所についての感想などを書いています。